全世界から素材が集められ復活!
『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』復活プロジェクト!
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平和の願いを実感してもらう意味でも番組を見てほしい
――『マルコ・ポーロの冒険』は、どのような経緯で復元されたのですか。
A 「番組発掘プロジェクト」が始まったのは2013年ですが、『マルコ・ポーロの冒険』に力を入れて集めていたわけではありません。
プロジェクトのスタート当初は、大河ドラマや朝ドラの収集に注力していました。こういった注力作品の場合は、番組の出演者や脚本家、音楽を担当していた方に連絡を取って「あなたが関わった番組はこれだけあります。VTRをお持ちでないですか?」と、リストをお送りする交渉の仕方をしていました。
――広く呼び掛けていたわけではないんですね。
A 当初から重点番組のひとつではあったのですが、2019年ごろになると、何件か視聴者からの提供ビデオが集まってきまして、そこからさまざまな関係者に個別に当たっていく交渉を行いました。
――重点作品になったポイントは、どういったところでしたか?
画像提供:NHKA まず、われわれプロジェクトのメンバー内でも『マルコ・ポーロの冒険』がおもしろかったという意見があったんです。それで2014年にはじまったホームページに掲載したところ、視聴者からの反応が強く寄せられ、これは大事な作品だなと認識したんです。
アニメパートを制作したマッドハウス(当時)の丸山正雄プロデューサーにお声がけしまして、丸山さんや制作関係者の協力で13話分が収集できました。
2020年にも大きな変化がありました。NHKがフィルムの現像を依頼していた横浜の映像制作会社があるのですが、その担当者のひとりが埼玉県川口市のNHKアーカイブスに常駐されていたんです。その方が、2020年12月に「会社の倉庫に『マルコ・ポーロの冒険』のフィルム缶がたくさん眠っているようなんですけど、確認してくれませんか?」とおっしゃる(笑)。「えー!」ということで、さっそく横浜まで見に行ったら、なんと第1回から43回までのフィルム缶が並んでいたんです。たくさんNHKのフィルムがあるなかの一部だったので気がつかなかったんですね。
――まるでドラマのような展開ですね!
画像提供:NHKA イタリアでの放送用フィルム(ポジ)とネガが返却されて、保管されていたということでした(イタリアで1982年に『Le avventure di Marco Polo』というタイトルで放送。主題歌とエンディング曲は、イタリアで制作されたオリジナル曲が使われた)。
最初に見つかった時は、すぐに再放送できるんじゃないかって喜びがあったんですけれど、確かめてみるとフィルムの状態はきれいではあるんだけれども、音がついていないことがわかったんです。
(※海外に番組輸出をする場合、映像のフィルム(ポジ)とネガ、音楽と効果音の入った音響テープを送り、現地で吹き替え音声を加えて放送していた。つまり輸出用の素材には、日本語のテロップ、日本語音声は入っていない)
やはり音を探さなくてはと再認識して、発掘活動を続けることになりました。
そこから改めて、音声を含めた映像を持っている方を探し始めたんです。それ以前の2020年はじめごろに、全43話をお持ちの方がいると制作会社から情報が寄せられました。ただ、その方はオランダに住んでいたんです。
画像提供:NHK
画像提供:NHK
――マルコ・ポーロにふさわしい国際的な話になってきました。
A その方と連絡はついたんですが、ビデオテープをオランダに持って行かれているので、すぐには手に入らない状態でした。しかも、ちょうどコロナの時期と重なって、あまり身動きもできません。ずっと大事にしているビデオを郵便で送るのも怖い。そこで、その方が一時帰国するときに持ってきていただけることになりました。
そしてようやく、2021年9月に43話分の音声が入ってる、オンエアしたものを録画したビデオテープをお預かりできたんです。
――その方にとっても、テープは宝物だったでしょうね。
画像提供:NHKA 1979年の放送で、家庭用のビデオデッキも発売されていましたから、もちろんビデオテープがあってもおかしくはないんですが、それを上書きせずにずっと残すというのは、相当な思いがないとできません。
――当時ビデオテープは高価でしたからね(1976年のVHS規格登場時のテープ価格は、120分6000円)。しかも、それをオランダまで持っていったのですから、相当の思い入れがあったんでしょう。
A その思いをもって、テープを残してくれていたことは非常にラッキーでした。
ところが「これで全部そろって、もう大丈夫!」と思ってチェックしたら、今度は第30回「ジパングの宝」だけが欠けていた。今度は第30回の音声を、なんとか見つけましょうっていうことになりました。
――残りは、その30回の音声だけですね。
A 視聴者からの情報で、第30回のビデオを持ってる方がいらっしゃったんで確認させていただいたら、残念なことに音質が悪かったんです。最後に、音声だけをオーディオテープで残しているという、岡山にお住いの方にお願いしてテープを送っていただいて、全部のピースが埋まりました。これでなんとか復元する元の素材が集まったんです。
――まさに冒険でしたね。
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