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全世界から素材が集められ復活!
『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』復活プロジェクト!

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『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』
音楽の記憶と音盤

『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』は、音楽も素晴らしい。
作品の魅力のひとつは、間違いなくオープニング、エンディング、劇中に挿入される歌の数々である。
聴く者を瞬時にして旅にいざない、マルコたちの果てしない旅を、目の前に広がる広大な大地を、どこまでも続く碧い空を、目の前に現出させる。また、マルコの生きた約750年前から現在まで続く悠久の時の流れに思いをはせさせる。夜の静寂。目の前で静かに揺れる炎を見ながら、薪の爆ぜる音が聞こえるなか、ただ来し方行く末を思う――。

 

名曲ぞろいのなかでも、印象深いのがオープニングテーマ『いつの日か旅する者よ』だ。前に進もうとする勇気を、はるか700年前の旅人が与えてくれる。そんなとてつもないスケール感で、ちっぽけな個人のちっぽけな挑戦を後押ししてくれる。オープニングに使われたのは3番の歌詞で、強い打楽器の音から入る勇壮なイントロがついている。だが、このバージョンは音盤に収録されたことがなく、アルバム版では静寂の夜をイメージさせる静かなイントロとなっている(1979年に発売されたドラマ版LPレコード『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険 ドラマ編 Part1 はるかなる旅立ち』と、1980年に発売されたドラマ版LPレコード『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険 ドラマ総集編 ~想いは東方を駆けて~』、1996年発売のアニメ主題歌集CD BOX『アニメ主題歌メモリアル2』には、オープニングに近いアレンジのイントロがついているが、歌唱者が小椋佳さんではなく、川津恒一さんによるカヴァーバージョンであった)。

エンディング曲では『大空から見れば』がお気に入りだった。この曲はこの曲で、大空から大地を見下ろす視点で、人の存在なんて小さなもので苦しんだり迷ったりする悩みもまた小さいものにすぎない、とこれまた途方もないスケールを背景に勇気を与えてくれるのだ。第11話から挿入歌として使われ、最終ラスト3話にもエンディングとして使われたためか、個人的には最も多く使われたエンディングだと思っていた(実際は『また旅支度』がもっとも多かったようだ)。
忘れがたいのは、同じくエンディングの1曲『それが夢ならば』だ。「楽なはずはない、楽じゃなくていい」というフレーズが、当時の自分に刺さりまくった記憶がよみがえってくる。放送当時、高校1年生。あれこれ思い悩む年代の自分にとって、『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』の楽曲たちは、はるか先を照らす灯りとも道標とも感じられる、そんな存在であった。

 

オープニングとエンディング楽曲の大半は、小椋佳さんのアルバム『マルコ・ポーロの冒険』のCD(発売元:ユニバーサル・ミュージック・ジャパン/品番:UPCY-6558)に収録されており、現在でも容易に入手できる。旅と人生の供に、ぜひたずさえておきたい名盤だ。
ひとつ残念なのは『それが夢ならば』が、本CDには収録されていないこと。その要因は、本CDの元になったLPレコード発売時に、『それが夢ならば』が作られていなかったからのようだ。
もう10年前くらいだろうか。小椋佳さんの『コンプリート・シングル・コレクション1977~1988』(発売元:ユニバーサル・ミュージック・ジャパン/品番:UICZ-4078)には、『それが夢ならば』が収録されていることを知り、あわてて入手したことを思い出す。現在は、入手困難なようだ。

 

音楽や歌は、聴いていた時代の光景とともに記憶に刻まれることが多い。
自分にとって『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』の楽曲たちは、その先になにが待っているのかまったくわからない、旅の序盤たる高校1年生の青き日々とともにある。その時そこにいたことが大きな意味を持っていた、と45年後に感じることなど、微塵も思うことなく――。

【関連音盤 収録楽曲】

 

『マルコ・ポーロの冒険』小椋佳
(SHM-CD/発売日:2010年1月20日/発売元:ユニバ―サル・ミュージック・ジャパン/品番:UPCY-6558)

01.大空から見れば(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:小野崎孝輔)
《#5,17,18,22,23,41-43エンディング/#1,2,4,7,11,19挿入歌》
02.蒼き狼(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:星勝)
《#21エンディング/#22挿入歌》
03.また旅仕度(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:小野崎孝輔)
《#2,3,7,8,10-14,16,19,20,33-40エンディング》
04.誰でもいいから(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:小野崎孝輔)
《#1,6,9エンディング/#3,34挿入歌》
05.望郷(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:小野崎孝輔)
《#15エンディング》
06.キシェラック ヤイラック(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:星勝)
※劇中使用なし
07.マティオ・ニコロそしてマルコ・ポーロ(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:星勝)
《#13挿入歌》
08.ひとすくいの水(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:小野崎孝輔)
《#4エンディング》
09.大地は(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:星勝)
※劇中使用なし
10.黄金のパイザ(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:星勝)
※劇中使用なし
11.いつの日か旅する者よ(作詞・作曲・歌:小椋佳/編曲:小野崎孝輔)
《オープニング》

 

■1979年6月1日 キティレコードからLPレコード発売(MKF-1060)
■1994年5月21日 ユニバーサル・ミュージック・ジャパンよりCD発売(KTCR-1507)
■2003年3月19日 ユニバーサル・ミュージック・ジャパンより紙ジャケット仕様CD発売(UICZ-6011)
■2010年1月20日 ユニバーサル・ミュージック・ジャパンよりSMH-CD発売(UPCY-6558)

 

 

『コンプリート・シングル・コレクション1977~1988 小椋佳』
(CD2枚組/発売日:2003年11月5日/発売元:ユニバ―サル・ミュージック・ジャパン/品番:CZ-4078)

[ディスク1]
5.いつの日か旅する者よ(CD『マルコ・ポーロの冒険』11曲目)
6.それが夢ならば(作詞・作曲:小椋佳/歌:小椋佳、ジョイ・メイリー/編曲:小野崎孝輔)
《#24-32エンディング》

[ディスク2]
5.誰でもいいから(CD『マルコ・ポーロの冒険』4曲目)
6.マティオ、ニコロそしてマルコ・ポーロ(CD『マルコ・ポーロの冒険』7曲目)

 

■『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』
(発売日:1979年5月1日 キティレコードよりシングルレコード発売/品番:DKQ-1057)
収録曲:「いつの日か旅する者よ」「誰でもいいから」
■『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険』
(発売日:1979年11月1日 キティレコードよりシングルレコード発売/品番:DKQ-1070)
収録曲:「それが夢ならば」「マティオ、ニコロそしてマルコ・ポーロ」
■『小椋佳 コンプリート・シングル・コレクション1977~1988』
(発売日:2003年11月5日 ユニバーサル・ミュージック・ジャパンよりCD発売/品番:CZ-4078)

 

 

『アニメ主題歌メモリアル2』
(CD10枚組/発売日:1996年9月21日/発売元:日本コロムビア/品番:COCC-13591/600)

[ディスク10]
7.いつの日か旅する者よ(川津恒一カバーVer)
8.また旅支度(川津恒一カバーVer)

 

 

『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険 ドラマ編 Part1 はるかなる旅立ち』
(LPレコード/発売:1979年10月/発売元:日本コロムビア/品番:CS-7135)

 

 

『アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険 ドラマ・総集編 想いは東方を駆けて』
(LPレコード/発売:1980年4月/発売元:日本コロムビア/品番:CS-7183)

 

 

TEXT:ヤマモトカズヒロ

『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』©NHK

 

「全世界から素材が集められ復活!『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』復活プロジェクト!」

■インタビュー:『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』復活プロジェクトチーム

■取材協力:NHK、NHK エンタープライズ

■画像協力:NHK、丸山正雄

■取材・構成・TEXT:幕田けいた、ヤマモトカズヒロ

■写真撮影:諸星和明

■記事編集:ウォーターマーク(尾崎健史・諸星和明・池田倫夫)

■プロデュース:ライトスタッフ(山本和宏・岩澤尚子・緒方透子)

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