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全世界から素材が集められ復活!
『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』復活プロジェクト!

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『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』とは

画像提供:NHK

『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』は、1979年4月7日から約1年にわたり、NHK総合テレビジョンで放送された。アニメーションと実写映像を交えて構成され、当時の企画書によれば「連続マンガ・ドキュメンタリー」という画期的な作品である。

 

主人公は、13世紀から14世紀に活躍した実在の商人・冒険家のマルコ・ポーロ。ベネチア(当時ベネチア共和国、現イタリア共和国ヴェネト州)から遠く中国(当時、元)まで旅を続け、ヨーロッパに日本を紹介した人物でもある。その生涯を、創作を交えながら追ったのが『マルコ・ポーロの冒険』だ。
作品の実写パートは、1978年にNHKの中村哲志ディレクターをはじめとする、わずか数人の撮影スタッフにより、マルコの旅路をたどってロケを敢行。撮影は、第四次中東戦争が終結し、レバノン内戦中、イラン革命前、アフガニスタン紛争直前という、わずかにあった紛争沈静化の時期に行われた。

 

パソコンもスマホもなかった当時、外国の最新情報を得ることは困難。撮影は順風満帆ではなく、撮影隊は不透明な情勢により、時には撮影ストップという事態に追い込まれながらも粘り強く撮影を続けた。たとえば1978年に起きたクーデターによるアフガニスタン民主共和国樹立後、初の外国取材班としての撮影許可を得て、貴重な取材が行われ、2001年にイスラム原理主義勢力タリバンによって破壊された仏像などを撮影している。

 

アニメパートを担当するMK・マッドハウス側は、事前に撮影班と綿密な打ち合わせをしてはいるが、実際には、現地からどんな映像が送られてくるのかはわからなかった。
それでもドキュメント映像とアニメドラマのシンクロ度合い、そして音響効果のつながりは抜群で、別々のスタッフが作った2種類の映像を編集したとは思えない仕上がりだった。

 

また、実力派のシンガーソングライター小椋佳が、はじめてアニメの主題歌を手がけたことでも話題を呼んだ。小椋が作詞・作曲・歌唱を担当したアニメ主題歌、挿入歌は作品に強い印象を与えた。小椋は、作曲のためにイタリアから中近東、アフガニスタンまでの取材旅行に出かけ、全部で25曲ほど(番組で使用されたのは9曲)を作曲したという。当時の小椋は、まだ第一勧業銀行で銀行員としてエリート街道を歩んでいた時期だけに、この取材旅行がいかにチャレンジングなものかわかる。
ながらく幻の作品になっていた『マルコ・ポーロの冒険』は、アニメ+実写、当時はまだ経験のない地域での海外ロケ、そこで撮影されたドキュメンタリー映像という、画期的であるがゆえに、はじめてづくしの作品となった。その制作には、数多くの苦難がともなったが、結果としてクリエイターのチャレンジ精神と職人魂が大いに発揮された作品となったのだ。

 

その挑戦は、若い視聴者から高い評価を受け、翌年から放映された人気番組『NHK特集 シルクロード-絲綢之路-』を代表とする、日本を席巻したシルクロードブームの口火を切ることにもなった。

 

 

TEXT:幕田けいた

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