全世界から素材が集められ復活!
『アニメーション紀行「マルコ・ポーロの冒険」』復活プロジェクト!
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いまでは見られない景色を現在に
――(発見されたのが)海外用フィルムということは、日本語のテロップは入っていなかった?
B 番組のメインタイトルだけは入っていましたが、それ以外は入っていませんでした。劇中に挿入されるテロップは、皆さんからお預かりしたビデオテープを参考にして作り直しています。
――そうした修復の工程は、再放送が決まってから作業に入ったんでしょうか。
A 決まってからです。どれだけよい番組でも、編成部が「やろう」といってくれないと再放送ができません。ですから、内部に対して、みんなで売り込みをして、作品がおもしろいことをわかってもらい、再放送までの流れを作っていきました。
一度、2023年3月にNHK BSプレミアムの『プレミアムカフェ』で9話分を再放送したのですが、これは先に視聴者のみなさんから提供していただいたVTRの修復版です。この再放送後の「全話みたい!」という声がすべてでした。我々が良い番組だ! と思う以上に、皆さんの声は強い。その声が大きいほど動かす力がある。それで完全版へのゴーサインが出ました。
――全話が集まってから少し時間がかかっていますね。
画像提供:NHKB 映像の権利がクリアできてない部分があったんです。『プレミアムカフェ』での再放送分は、それがクリアできたエピソードのみでした。
実写パートが併存する番組なので、外部から提供された映像も入っています。再放送するには、NHKが撮影したものか、提供された映像かをひとつずつ確認し、権利をクリアしなければなりません。その43回分の権利処理がとても大変でした。
――発掘チームの皆さんが、復活した『マルコ・ポーロの冒険』をご覧になった感想をお聞かせください。
画像提供:NHKA 10年以上夢に見ていた『マルコ・ポーロの冒険』の再放送が実現して、本当に感激でしかないです。途中、何度も挫折しそうになって、もう再放送は無理なのかなと思ったこともあったんですが、最終的にあんなにきれいになってオンエアできました。そして視聴者の反響をいただけたのは、うれしい以外のなにものでもないです。ホームページに書き込んで声を上げてくださったファンのみなさん、おめでとうございます! といいたい気持ちです。
C 私は『マルコ・ポーロの冒険』をオンタイムで見ていた世代ではなく、後から見て、すばらしい番組だったことを知った世代です。
私は、復元した番組を再放送するまでの作業にたずさわったんですが、もともとは通常の番組制作をやっていました。今回『マルコ・ポーロの冒険』をはじめてちゃんと見て、当時のディレクターたちの熱意や発想、子供たちに世界を見せたい……そういう思いを強く感じたんです。同じ番組制作をしていますが、先輩たち凄かったな、みたいなことを感じました(笑)。
当時の実写映像のなかには、いまではもう見られない景色もあって貴重だという感想もいただきましたし、それを40年以上経って復活させる意義をすごく感じましたね。
D 実際に再放送して、視聴者の方々からものすごい反響があって、こんなに待ち望んでくれていたのかっていうのがわかって、本当に実現してよかったと思っています。
バーミヤンの大仏だとか、いまは壊されてしまって存在しない遺跡の風景とか、当時の貴重な映像が残っているっていうのもありますね。世界各地でいろいろな紛争があるなかで、ニュースで放送される戦闘などの映像とは違い、それぞれの国の文化や一般の人々の暮らしぶりに思いをはせられるので、平和への願いを実感してもらう意味でも、番組を見てほしいと思っています。本当に2025年のタイミングで出せてよかった。
B いま僕らが見るのは、現在そこで困っている人の映像でしかないんだけれども、40年前に撮影された時の穏やかさや生活感そのものを映像として見られる価値は本当に大きいですよね。
A アフガニスタンなどは本当にそうですよ。
画像提供:NHKD 2025年6月にイスラエルとイランの間で空爆があったとき、番組内のマルコはイランあたりを通っていたんですよね。
私たちも、また見てくれた人も『マルコ・ポーロの冒険』でかかわってすごく気になる土地になった。映像に映っていた40年前の少女は、いまなにをしているのか、あの景色はどうなったんだろうみたいな、過去と現在の世界がつながるきっかけになっていますね。
――もともとが700年前の話で、それが40年前に『マルコ・ポーロの冒険』になり、さらに2025年に再放送される。いま作品を見る意味を感じますね。NHK内での評価はいかがでしたか。
D 長年取り組んできたプロジェクトが実現できたことは、NHK内でも非常に評価が高く「放送100年」のタイミングを盛り上げるよい起爆剤にもなったと。アニメにかかわらず、いままでなかなかできなかった番組の再放送を、今後もやっていこうという機運が高まっていますね。
