『ウイングマン』実体化! 監督:坂本浩一の仕事
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日本・香港・アメリカのハイブリッド・アクション! 逆輸入され活躍する坂本浩一監督
日本が誇る3大特撮ドラマ、「仮面ライダーシリーズ」「スーパー戦隊シリーズ」「ウルトラマンシリーズ」のすべてでメガホンを取ったのが、『ウイングマン』の坂本浩一監督である。1970年生まれの坂本監督は、小学生の時に特撮ヒーローとジャッキー・チェンに憧れ、高校1年時に倉田アクションクラブに入門。16歳からスタントマンとして活動し、高校卒業後は映画監督になるために渡米した。
アメリカでは、数々のアクション作品にスタントマンとして関わりながら、当時大ブームを巻き起こしていた「スーパー戦隊シリーズ」のアメリカ・ローカライズ版『パワーレンジャー』に1995年から参加。最初は、役者を吊り上げてアクションさせるワイヤーワークスタッフや戦闘員役だったが、やがてアクションシーンを演出するセカンドユニット監督となり、『パワーレンジャー・ジオ』からは本編監督として参加。プロデューサーや脚本家に、原作であるスーパー戦隊シリーズの内容を通訳する役を担うようになると、その場で出したアイディアが採用されるなどの功績が認められ、『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』以降は、共同プロデューサーを務めることに。坂本監督が、異国の地で頭角を表した大きな武器のひとつが、異文化の橋渡しとなるコミュニケーション能力の高さだろう。監督としての坂本氏は、日本特撮と香港アクション、そしてアメリカン・エンターティメントが融合する過程で生まれた映画人といえるのだ。
2009年、パワーレンジャーシリーズが一時休止したため、帰国して円谷プロの劇場用作品『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』を監督。その直後、東映で『仮面ライダーW』のTVシリーズに参加し、劇場版も監督。その後も、様々な作品の監督を務め、日本式の撮影スタイルも吸収しながら、以降も世界的な活動を続けている。
坂本監督が手掛ける香港アクション風のワイヤーアクションや、ジークンドーなどの武術を取り入れた殺陣は評価が高く、またアメリカでチャレンジしてきた新たな撮影法の経験は、邦画の世界に新風を吹き込んでいる。
また、坂本監督は多作家としても知られるが、それもアメリカ仕込みの効率的な撮影法と日本での経験に裏打ちされた伝統的な撮影法、そして一発勝負の香港アクション映画への傾倒が、抜群のコミュニケーション能力によりハイブリッド化された「坂本流」の手腕の成果なのだ。
「ウイングマン」坂本浩一監督 フィルモグラフィ
<1997>
パワーレンジャーターボ 誕生!ターボパワー(映画)
[セカンドユニット監督]スタント出身で、のちに監督デビューした横山誠さんと組んだ
<1999>
パワーレンジャー ロスト・ギャラクシー(TV)
[監督、共同プロデューサー]以降のパワーレンジャーシリーズで、本編監督、共同プロデューサーを務める
<2009>
大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE(映画)
[日本での監督第1作]背景がフルCG、ワイヤーアクションなどを活かして撮影された新機軸の作品
<2010>
仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ(映画)
[監督]日本の劇場版仮面ライダー作品第1作。デジタル3D上映作品
<2011>
仮面ライダーフォーゼ(TV)
[シリーズメイン監督作品]仮面ライダー生誕40周年記念作品
仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX(映画)
[監督、アクション監督]仮面ライダー1号からストロンガーまでの昭和仮面ライダー7人がゲスト出演
<2012>
仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!(映画)
[監督、アクション監督]『宇宙鉄人キョーダイン』『大鉄人17』が登場
仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム(映画)
[監督、アクション監督]ポワトリン、イナズマン、アクマイザー3など「石ノ森アベンジャーズ」が登場
<2013>
獣電戦隊キョウリュウジャー(TV)
[シリーズメイン監督作品]坂本監督は「王道戦隊」という要素を掲げている
劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック(映画)
[監督]ミュージカル要素が加味された作品。主要なゲスト出演者も監督のオーダー
トラベラーズ 次元警察(映画)
[監督]オリジナル企画監督作第1作。台湾資本の作品で長澤奈央、木下あゆ美、高山侑子が出演
009ノ1 THE END OF THE BEGINNING(映画)
[監督、アクション監督]石ノ森正太郎原作コミックの映像化。R15+指定作品。主演は岩佐真悠子
<2014>
ウルトラマンギンガS(TV)
[シリーズメイン監督]『ウルトラマンギンガ』(2013)の続編
赤×ピンク(映画)
[監督]桜庭一樹原作小説の映画化。劇場公開版はR15+指定
俺たち賞金稼ぎ団(映画)
[監督]『キョウリュウジャー』レギュラー出演者らがキャスティングされた
宇宙刑事シャリバン NEXT GENERATION(オリジナルビデオ作品)
宇宙刑事シャイダー NEXT GENERATION(オリジナルビデオ作品)
[監督・アクション監督]「宇宙刑事 NEXT GENERATION」シリーズとして新世代宇宙刑事を描く
<2015>
劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!(映画)
[監督、画コンテ]テレビシリーズの後日談。最終話の約1年後を描く
白魔女学園 オワリトハジマリ(映画)
[監督]でんぱ組.inc主演ドラマの劇場版作品。TVシリーズもメイン監督を担当
KIRI -「職業・殺し屋。」外伝-(映画)
[監督・アクション監督]コミック『職業・殺し屋。』が原作。主演・釈由美子
<2016>
仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー(映画)
[監督]「仮面ライダー平成ジェネレーションズ」シリーズの第1弾
<2017>
獣電戦隊キョウリュウジャーブレイブ(TV)
[監督、アクション監督]『獣電戦隊キョウリュウジャー』続編の韓国ドラマ
ウルトラマンジード(TV)
[シリーズメイン監督作品]作家・乙一がシリーズ構成を担当
破裏拳ポリマー(映画)
[監督]タツノコプロの伝説的アクションアニメを実写化
<2017>
ギャバンVSデカレンジャー(オリジナルビデオ作品)
[監督・アクション監督]『宇宙刑事 NEXT GENERATION』続編のスペース・スクワッドシリーズ
ガールズ・イン・トラブル スペース・スクワッド エピソードゼロ(オリジナルビデオ作品)
[監督・アクション監督]女性キャラクターを中心としたスペース・スクワッドシリーズ第2弾
<2018>
宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド(オリジナルビデオ作品)
[監督・アクション監督]Vシネマレーベル「Vシネクスト」の第1弾
劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!(映画)
[監督]メイン監督を務めたテレビシリーズの後日談
モブサイコ100(映画)
[監督]マンガ家ONE原作作品の映画化
<2019>
BLACKFOX: Age of the Ninja(映画)
[監督]アニメ映画『BLACKFOX』と連動して、実写版が製作された特撮時代劇
<2020>
SEDAI WARS(映画)
[監督]主演の山田裕貴を始め、スーパー戦隊シリーズ出演経験者が多く出演
<2021>
ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA(TV)
[監督]坂本作品に参加したクリエイターが多数参加
騎士竜戦隊リュウソウジャー 特別編 メモリー・オブ・ソウルメイツ(映画)
[監督、アクション監督]テレビシリーズの第32話と第33話の間のエピソード
魔進戦隊キラメイジャーVSリュウソウジャー(オリジナルビデオ作品)
[監督・アクション監督]VSシリーズ第27弾 ビデオリリース前に劇場公開も行われた
<2022>
劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア(映画)
[監督]テレビシリーズの第46話と第47話の間のエピソードを描く
文豪ストレイドッグス BEAST(映画)
[監督]朝霧カフカ原作、春河35作画のコミックの実写化。一部を除き、舞台版からの続投キャストも
漆黒天 -終の語り-(映画)
[監督・アクション監督]映画と演劇のメディアミックスシリーズ「東映ムビ×ステ」第3弾
グッドモーニング、眠れる獅子(ネット配信)
[監督]スーツアクターである高岩成二の素面での初主演作品
<2023>
妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク(映画)
[監督]脚本の足木淳一郎は円谷作品出身のシナリオ作家
<2024>
仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング(オリジナルビデオ作品)
[監督]テレビシリーズ最終話以降を描く続編
王様戦隊キングオージャーVSキョウリュウジャー(オリジナルビデオ作品)
[監督・アクション監督]VSシリーズ第30弾 『キョウリュウジャー』10周年記念作品
ウイングマン(TV)
[監督・アクション監督]
「『ウイングマン』実体化! 監督:坂本浩一の仕事」
■インタビュー:坂本浩一
■取材協力:テレビ東京
■画像協力:テレビ東京 東映ビデオ /
アルバトロス KADOKAWA
ダブルフィールド バンダイナムコフィルムワークス
■取材・構成・TEXT:幕田けいた
■写真撮影:諸星和明
■映像撮影:尾崎健史
■映像編集:創太
■記事編集:ウォーターマーク(尾崎健史・諸星和明・池田倫夫)
■プロデュース:ライトスタッフ(山本和宏・岩澤尚子・緒方透子)