『ウイングマン』実体化! 監督:坂本浩一の仕事
Index
映像が完成して
~放送後の反響と監督自身の感想~
――完成映像を見て、どのように感じましたか。
坂本 ちょっと大人向けな画作りを目指したく、カラコレ作業時にコントラストのバランスを変えたり、彩度を落としたりなどルックの調整をしています。
それにプラスして、通常特撮番組だとお芝居経験がほとんどない新人をキャスティングすることが多いですが、今作は元々お芝居経験がある若手をキャスティングしているので、安心してお芝居のシーンを見ることが出来ます。お芝居の段取りも、それぞれ自分の役を考えてお芝居を作ってくれる信頼感がありました。今作は青春群像劇の要素も入っています。子供向けの特撮番組では、恋愛要素は入れにくいので、『ウイングマン』は「青春アクションヒーローもの」と考えると、また違った楽しみ方ができるかと思います。
制作側には、『ウイングマン』世代のスタッフがたくさんいました。自分たちが子供のころに夢中だった作品に関わるうれしさや、情熱があって、相乗効果ですべてが良い方向になっていく。ですから限ある予算やスケジュールの中でも、クオリティが上げられたんだと思います。キャスト&スタッフ全員が力を出し尽くして作っている感じがしましたね。
――放送後、配信後の反響はいかがでしたか。
坂本 自分が一番、気になっていたのは、桂先生がどう思われるかでした。先生は撮影現場には何度もいらっしゃって、キャストとコミュニケーションを取ったり、アドバイスをしていただいたりしたんですが、仕上げ段階になってからは「じゃあ、ここからは監督が思うように仕上げて、完成品を見せてください」というスタンスでした。
1話完成後のプレビューは、先生がいらっしゃって一緒に見ていただきました。もうドキドキですよ。終わった瞬間に先生が「いや面白かった! 一瞬で終わっちゃったよ!」って言ってくださり、自分の中の大きなプレッシャーが消えました(笑)。
もちろんファンや、視聴者の方々にどう見られるかは気になりますが、まずは原作者の先生が喜んで見てくれて、「これで文句いうファンはいないだろう」と、言って頂けたのが凄く嬉しかったです。
――ドラマは、原作マンガともアニメとも違うキビキビした展開になっていると思いました。脚色する際に気をつけた点はありますか。
坂本 先生のこだわりの一つとして、ポドリムスがどういう世界か?ドリムノートの仕組みは?などの設定を原作やアニメ版よりも、さらに細かく作り込んでいます。近年、視聴者は、ハリウッドの大作ヒーロー映画を見慣れているので、設定をきちんとしておかないと冷めてしまう危険性があります。逆に難しくし過ぎても離れてしまうので、そのサジ加減が難しいところでした。
――第1話から激しいアクションシーンが展開されましたが、それは意識して撮られたんでしょうか。
坂本 そうですね。本当はアクションシーンをもっとたくさん入れたいのですが、限られた話数と撮影スケジュール、予算の中で、どこで何をするかを上手く計算しないといけません。限られた条件の中で、何を楽しんで見ていただくかが勝負だと思います。
『ウイングマン』は、アクションシーンが多く見えますが、実はほかの特撮番組よりも少ないくらいです。ただ、それをそう感じさせないように、どう構成して物語に組み込むかが、自分のこだわりでした。
この話は贅沢に合成を使うので、次の話は合成を使わずに処理するなど、アクション部と相談しながら進めていきました。例えば、2話と3話の学校内の生徒の暴動アクションには合成が少ない分、3話のガーダー初登場シーンは派手に見せられるなどです。
――この原作を全10話で、どうまとめようとしたのでしょうか。
坂本 全10話では、原作全部を描くことは出来ません。でもその中でも中途半端で終わりたくないというのが、桂先生を含めた自分たち制作側の意見だったんです。
なので、全10話を全力でやり切ろうと、もし続編が決まったら、そのときは、そのときで悩みましょうという意気込みで挑みました。
敵側の目的はなにか?健太はどのように成長していくのか?健太の周りの人たちはどうやって成長していくのか?などを、脚本家チームがしっかりドラマとして構成してくれています。そこに先生からのアドバイスや自分からのアクション周りの構成案も加わっているので、うまくまとまっていると思います。
――最後に、坂本監督についてお伺いしたいです。今後どういった作品にチャレンジしたいですか。
坂本 今現在、特撮作品やアクション作品を撮らせていただいていますが、まだやったことのないジャンルにもチャレンジしていきたいです。
例えば、来年5月公開予定の映画『英雄傳』は、実際に相手をどう倒すかを念頭に鍛錬を積んできて本物の武術家さんたちを集めて、アクション映画を作るという企画ですし、またアジアを含めた海外での作品制作などにもチャレンジしていきたいと思っています。
ラッキーなことに、子供のころに好きだった作品を、自分の手でリメイクする夢が、結構叶っているんです。ウルトラ6兄弟、栄光の7人ライダー、宇宙刑事に破裏拳ポリマー、そしてまさに『ウイングマン』もそれです。
その中で、どうしてもやりたいけれどまだ出来ていない作品がありまして……それが『スケバン刑事』なんです(笑)。『スケバン刑事』は、高校生のころにすごく好きだった作品で、自分なりのリメイク方法や構想がすでにたくさんある作品です。どなたか一緒に『スケバン刑事』をやりたいと思った方がいたら、オファーをいただけたらうれしいです(笑)。
Blu-ray『ウイングマン』
2025年3月26日(水)発売
Blu-ray限定予約版:23,100円(税込)/Blu-ray豪華版:23,100円(税込)/通常版:16,500円(税込)
発売元・販売元:東映ビデオ
【キャスト】
藤岡真威人 加藤小夏
菊地姫奈 片田陽依 上原あまね 丈太郎 大原優乃 三原羽衣 橘春軌 映美くらら 的場浩司 中山忍 菅原大吉 / 宮野真守
大塚明夫 戸松遥 関智一
【原作】
桂正和『ウイングマン』<集英社文庫(コミック版)>
【スタッフ】
脚本:山田能龍 西垣匡基 中園勇也
監督・アクション監督:坂本浩一
オープニングテーマ:BLUE ENCOUNT「chang[e]」(Sony Music Labels Inc.)
エンディングテーマ:Nowlu「yoin」(バンダイナムコミュージックライブ)
エグゼクティブプロデューサー:伊藤和宏(DMM TV) プロデューサー:山田真行(東映ビデオ) 倉地雄大(テレビ東京) 前田知樹(テレビ東京)
制作:東映ビデオ/テレビ東京
制作プロダクション:セントラル・アーツ
製作協力:DMM TV
【STORY】
幼いころから「ヒーロー」になることに憧れ、テレビの特撮ヒーロー番組に夢中になっていた広野健太(藤岡真威人)。自作のコスチュームを着用し、ヒーローの技やポーズを真似し、街のルールを破る不良たちにも臆せず、真っ向から注意する日々。そんなある日、彼は不思議な美少女・アオイ(加藤小夏)と出会う。アオイは、異次元世界ポドリムスを支配しようとする悪の手から逃れて、この三次元へとやって来たのだ。健太は、アオイが持っていた「ドリムノート」に、空想のヒーロー“ウイングマン”のことを描く。 すると健太は、本当に変身できるようになった。だが、三次元には次々と、アオイを狙った刺客が現れる。 ウイングマン=健太は、ヒーローとしての使命を全うできるのか!?
『ウイングマン』特集 | 東映ビデオオフィシャルサイト:https://www.toei-video.co.jp/special/wingman/
【Blu-ray 限定予約版】
・音声特典:オーディオコメンタリー(1話・10話予定)
・ボーナスディスク:メイキング/特報/PR集/ノンクレジットOP
・封入特典:桂正和先生描き下ろしスリーブ/ブックレット8P(予定)
・限定予約版特典:リバーシブルプロマイドセット23,100円(税込)
※本商品は、東映ビデオオンラインショップの限定販売となります。
【Blu-ray 豪華版】
・音声特典:オーディオコメンタリー(1話・10話予定)
・ボーナスディスク:メイキング/特報/PR集/ノンクレジットOP(予定)
・初回特典:桂正和先生描き下ろしスリーブ/ブックレット8P(予定)23,100円(税込)
※初回特典は限定生産品です。在庫がなくなり次第、通常の仕様での販売となります。
【Blu-ray 通常版】
・音声特典:オーディオコメンタリー(1話・10話予定)16,500円(税込)
© 桂正和/集英社・「ウイングマン」製作委員会
2024.11.15 GATEWAYSTUDIO 高田馬場3号店にて
取材・構成・TEXT:幕田けいた
写真:諸星和明/映像:尾崎健史/
プロデュース:山本和宏・岩澤尚子・緒方透子
VECTOR youtubeでも動画版インタビュー(前後編)を公開中!
■TVドラマ『ウイングマン』監督・坂本浩一さんに聞く 前編
■TVドラマ『ウイングマン』監督・坂本浩一さんに聞く 後編