三池敏夫監督と特撮美術の世界
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特撮美術制作の実際
〜映画『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』京都駅を題材に〜
特撮美術の制作作業はどのような手順で進められるのだろうか。
三池敏夫監督が特撮美術を担当した映画『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999)で、主人公怪獣ガメラと敵怪獣イリスの最終決戦の舞台となったのは京都駅。おそらく特撮映画史上初めて、建物の中での巨大怪獣同士の決闘が描かれた。この京都駅のミニチュアセットを題材にして、その工程をたどってみよう。
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① 脚本 検討稿
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② 京都へのシナリオハンティング
プロデューサー、脚本、監督、特技監督に加え、三池氏も同行
樋口真嗣特技監督の発案で、決戦場所が「清水寺」から「京都駅」に変更
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③ 脚本 決定稿
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④ ロケハン
京都駅周辺および京都駅そのものを写真資料を収集
ライトアップの様子も確認
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⑤イメージスケッチ
樋口特技監督がイメージスケッチを作成
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⑥絵コンテ
金子修介監督が本篇を、樋口真嗣特技監督が、特撮パートをそれぞれ執筆
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⑦ サイズ検証作業
京都駅ミニチュアセット内で怪獣2体が戦闘する画が撮れるかを検証
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⑧ 設計図面
京都駅の設計図面は特撮美術助手の春日佳行氏が担当
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⑨ セットプラン
どこにどういうセットを組むのかを計画
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⑩ 検討用模型制作
小さな模型を制作
カメラアングルや怪獣の出入り口スタッフの居場所などを検証し、分割箇所等を決定
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⑪ ミニチュアセット制作
京都駅の筐体はマーブリングファインアーツが担当
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⑫ 加工処理
ガメラが倒れこみ建物が崩れガラスが飛散する画を撮るため、素材の交換、切れ目入れなどの加工を施す
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⑬ 撮影
カットごとにカメラ位置や仕掛けが変わるので、常に美術部が現場に立ち会う
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⑭ ラッシュチェック
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⑮ 編集及びVFX
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⑯ 完成
©角川映画・徳間書店・日本テレビ・博報堂・日販/1999
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