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『機動警察パトレイバー EZY』File 2公開! プロデューサー・真木太郎と脚本・伊藤和典が語る『パトレイバー』の現在・過去・未来

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「『機動警察パトレイバー』寿司屋の後藤」著者/
 最新作『機動警察パトレイバー EZY』シリーズ構成・脚本 伊藤和典氏 インタビュー

ファンの声を受けて、旧特車二課隊員が登場

――小説「寿司屋の後藤」は、発売前に重版がかかるほど好評で、4万5千部を突破しました。手ごたえはいかがですか?

伊藤和典(以下、伊藤)  予想外の反響だったので、うれしいというよりむしろ、怖いという気持ちになっています。

――太田や進士など、『EZY』とも連動した内容ですが、もともとは会員制ファンサイト「特車二課・分室」用のコンテンツだったそうですね。どのようなかたちで執筆依頼があったのでしょうか。

伊藤  執筆は『EZY』の脚本が終わってからで、時代設定も同じ2030年代の前半になっています。実は依頼がくる前から、寿司屋の後藤というアイデアはあったんです。というのも『機動警察パトレイバー』のプロデュースをしているジェンコの会議室から、「寿司屋の後藤」という店の看板が見えるんですよ。「後藤が年をとって寿司屋をやっている話って、おもしろそうじゃない?」と真木さんに話したことがあったので、ファンクラブをやるとなったときに、あれをやろうとなりました。依頼される前から“寿司屋の後藤”はいたんです。

――そのインスピレーションから、いまのかたちになるまで、どうやってイメージを膨らませたんですか?

伊藤  一期庵という飲み屋さんが熱海にあったんです。本に出てくるとおり、路地裏にあって目立たない、入りにくい飲み屋さんでした。もうなくなってしまったんですけどね。そのお店が大好きだったので、舞台設定として使ったらおもしろいんじゃないかと思って、モデルにしました。最初は『深夜食堂』(安倍夜郎による漫画でドラマ化もされた)みたいなイメージでしたね。

――ワンシチュエーションの舞台のような小説だと感じました。後藤の過去に興味津々の常連客がいることで、来店した旧特車二課メンバーのこれまでが、自然と話題にのぼりやすくなっていましたが、常連客の設定はどうやって決まったのでしょうか。

伊藤  あまりほかの場所は出さずに、寿司屋だけで完結できるようにしようと意識していました。常連客は、一応みんなモデルがいるんですよ。一期庵に実際に来ていた元常連の人たちです。芸妓見習いの莉子さんは、若い仲居さんがモデル。一期庵は、常連さんもすごくいい感じで、客ガチャにはずれがない珍しいお店でした。店主は江戸言葉でいえば“ざっかけない”というか、後藤ほどではないけれど大雑把で、きめ細やかなタイプじゃなかったので、常連さんが店のホスピタリティを担っていた部分があって。通っていたお店の雰囲気を懐かしみながら、居心地のいい雰囲気を、そのまま小説内に持ってきたんです。

――ひとりで行って、店のお客さんと飲むのがお好きなんですか? パンプレットによれば、「サシで飲むなら香貫花(・クランシー)」だそうですが。

伊藤  ほかのお客さんと飲むのは好きですね。たしかに一緒に飲むなら香貫花なんだけど、最近は意外と(山崎)ひろみちゃんもありかなと思うようになってきました。

――旧特車二課メンバーがゲストとして来店するという形式になったのは?

伊藤  そもそも旧特車二課をあんなに出すつもりはなかったんですよ。なんなら出さずにすませたいと思っていたくらいなんですけど。2話で(篠原)遊馬を出したら、ファンからの反響がすごかったので、途中で方針を変えてみんなを出すことになりました(笑)。

――旧特車二課メンバーのその後の姿は、ずっとイメージされていたんですか? EZY File 1のパンフレットでは「パト2(1993年公開の『機動警察パトレイバー2 the Movie』)で残った疑問に対するアンサーをする必要がある」というお話もありました。

伊藤  みんなのその後の姿に関しては、泥縄です(笑)。書かなきゃいけなくなって、そのたびに考えたんだと思う。そのアンサーに話を持っていこうとしたのも、ずっと考えていたというより、書きはじめてからですね。

――各話のサブタイトルは、アニメ版のパロディになっていますが、1話目の「店の名は」と、3話目の「声、再び」の元ネタがわかりませんでした。

伊藤  もともとのテレビアニメ版が、ウルトラシリーズ(1966~1969年放送のTBSが制作した空想特撮シリーズ)のサブタイトルをもじったりしていたので、早い段階から全部アニメのもじりでいいかなと考えていました。「店の名は」は、「その名はアムネジア」(NEW OVA 第10話)とかだったかな。「声、再び」は「亡霊(ファントム)ふたたび」(ON TELEVISION 21話)というのもあるけど、ここでいう“声”は、「闇に呼ぶ声」(ON TELEVISION 27話)で描かれたものと同じ意味だと思う。

――最終話である14話「二人のヘルシンキ」を読んだときに、13話まではこの結末のために書かれたのかと感じました。でも意外なことに「二人のヘルシンキ」はサイト連載時、掲載されていなかったそうですね。

伊藤  連載時は13話の「再会」がラストだったので、「このクリフハンガー的な終わり方はなんだ⁉」といわれましたが、待っていてという気持ちでした。書く以上は書籍化してもらいたいと思っていたので、本にしたときのことを意識していたんです。ちなみに10話の「香貫花も来た」も担当編集にいわれて書いたので、連載時にはありませんでした(笑)。でも書いてよかったと感じています。まだ客観的に読めてはいないけど、自分でも13~14話あたりは気に入っていますね。

――旧特車二課メンバーが現役だったころの『パトレイバー』の世界に、決着をつけようとされたのかなと感じました。

伊藤  それは執筆途中から意識するようになりました。最終的にこの話を終わらせるためには、“ヘルシンキ”だろうなと。

――本作を執筆するにあたって、一番大事にしたことはなんですか?

伊藤  キャラクターが、作者の代弁者ではなく、そのキャラクター自身であること。これは小説にかぎらず、脚本でもいつも注意していることです。セリフを書いたときに、そのキャラクターの内側から出てきた肉声になっているかを考えるんです。

――自然と映像が浮かんできて読みやすく感じました。脚本ではなく小説を書くときに、意識されていることはありますか?

伊藤  脚本のト書きは、そこから映像がイメージできないと機能していないことになるので、小説でも映像が浮かぶような文章になっているんだと思います。ただ、小説は脚本と違って地の文があるので、書き方がわからないと横手(美智子)にアドバイスを求めたことがあるんです。彼女のほうが小説をたくさん書いていますから。そしたら「伊藤さんは、ト書きを書くように地の文を書けばいいんだよ。伊藤さんのト書きには、それに値するくらいの力があるから」といわれたので、肩の力が抜けました。今回は昔書いた『風速40メートル』(1990年発売。表題作は劇場版1作目のノベライズ中編)より、さらに文章が簡潔になっている気がします。

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中島文華

中島文華 (なかじまあやか)

大阪府出身。Webや雑誌で、アニメや2.5次元舞台関連の記事を書いています。趣味はミステリー小説を読むこと。
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ヤマモトカズヒロ

ヤマモトカズヒロ (やまもとかずひろ)

エンタテインメント作品宣伝稼業。主な担当作品:『悪魔くん』『PUI PUI モルカー』『この世界の片隅に』『ケータイ捜査官7』『午前十時の映画祭』『映像∞文化のまち ねりま』『調布シネマフェスティバル』など。VECTOR Magazine編集部所属。
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