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『機動警察パトレイバー EZY』File 2公開! プロデューサー・真木太郎と脚本・伊藤和典が語る『パトレイバー』の現在・過去・未来

ゆうきまさみ、出渕裕、伊藤和典、高田明美、押井守によるクリエイターグループ・HEADGEAR(ヘッドギア)によって生み出された『機動警察パトレイバー』。1988年にOVA(オリジナルビデオアニメ/のちに『アーリーデイズ』と副題がつけられる)からスタートし、ゆうきまさみによる漫画版も「週刊少年サンデー」で連載開始。漫画やテレビアニメ、劇場版、小説といったメディアミックス展開がされてきた大人気シリーズだ。その最新作『機動警察パトレイバー EZY』は、全8話を3章構成で劇場公開(Blu-ray同時発売)。第2弾の『File 2』は8月14日に公開となる。そこで『パトレイバー』再始動の立役者であるプロデューサー真木太郎氏と、シリーズ構成と脚本を担当し、スピンオフ小説『寿司屋の後藤』でも話題の伊藤和典氏に話を聞いた。

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『機動警察パトレイバー EZY』プロデューサー・真木太郎氏 インタビュー

一番作りやすいのが『アーリーデイズ』のスタイルだった

――5月15日に『File 1』が公開されましたが、あらためてどんなお気持ちですか。

真木太郎(以下、真木)  完成して試写室で見たときは「やっとできた」という感覚でしたけど、完成披露でお客さんと一緒に見たときは、また全然違う感覚になりましたね。半分はうれしさで、残り半分はホッとした。10年前に『パトレイバー』を僕があずかって、最初に出た作品ですから。

――最初に『EZY』について発表されたのが、2017年のアヌシー国際アニメーション映画祭で、公開に至るまで約10年という長い時間がかかりましたが、最大の難所はどこでしたか。

真木  2019年ごろの、伊藤さんが「60分のシナリオを書けない」といったところかな。当初『EZY』は海外ドラマみたいな連続したストーリーを、60分×8本という大ボリュームでやろうという企画でした。なじみがないキャラクターで連続ドラマを作っていくのは厳しい、このままだとできないとなったわけです。
僕は当時60分×8本で、シリーズアニメ『PLUTO』(2023年よりNetflixで配信)を作っていたので、このボリュームの大変さは身に染みてわかっていた。そこで熱海に住んでいた伊藤さんのところへ行って「30分ならできる?」と打診したんです。30分で各話ごとに完結した話になってからは、わりと順調に8本のシナリオがあがりました。

しかし、シナリオができた後も、ビジュアルで動くところまで新キャラクターがなじんでいなくて、また時間がかかった。ゆうき(まさみ)さんがキャラクターを描いて、コンテから作画、アフレコと進むなかで、徐々にキャラクターが浸透してきて、監督やスタッフのなかで腹落ちするタイミングがあったんだと思う。プロデューサーとして、そのときを待っていました。

――2030年代の設定になり、特車二課のメンバーも一新されましたが、初期OVA『アーリーデイズ』に近い雰囲気を感じました。

真木  大人がまじめにふざけたことをやっている雰囲気ですね。特車二課のメンバーも変わったけど、どこか懐かしさがあって、雰囲気が似ている。キャラクターをゆうきさんが描いているのも大きいけど、やっぱりみんなのなかに染みついているものなんでしょうね。

――林原めぐみさん演じる第二小隊隊長の佐伯貴美香が、いいキャラクターだなと感じました。どこか後藤(喜一)元隊長っぽさがある気がします。

真木  それは、みんな後藤が好きだからだと思うよ(笑)。林原さんは、もともと『機動警察パトレイバーREBOOT』(2016年にスタジオカラーとドワンゴによる企画「日本アニメ(ーター)見本市」の1本として制作された短編)に出演していて、そのご縁もありキャスティングしました。後藤の存在が大きいだけに、次の隊長を演じるのは難しかったでしょうね。でも、キャラクターとしてはまったくの別人なのに、後藤を彷彿とさせるというのは、逆にドラマとしてのリアリティがあるじゃないですか。何世代も前から特車二課の隊員に受け継がれるDNAがあるのかもしれないし、過去の隊員のエピソードも聞いてきたんだろうなと。そう感じながら見るのもまた楽しいと思いますよ。

――2話「閑中妄あり」での零式(押井守監督の1989年公開『機動警察パトレイバー 劇場版』に登場するレイバー)登場も話題になりました。

真木  妄想のシーンとはいえ、サービス過剰だよね(笑)。脚本の段階では、あんなふうじゃなかったけど、コンテで派手になった。

――エンドロール後の映像には驚きました。3話「ホンモノが一番」の本編で撮影しているのは、『大魔神』(1966)のオマージュ作品でしたが、作中の監督が全部覆したという体で押井監督の実写映画『ケルベロス 地獄の番犬』(1991)の予告編のオマージュに。これは3話の絵コンテを描かれた樋口真嗣さんのアイデアだそうですね。

真木  あの予告編は脚本にはなかったと思う。3話の絵コンテを樋口さんにお願いして、出渕さんが劇中映画の予告編をエンドロール後に流すというアイデアを出した。その結果ああいうコンテになったので、押井(守)さんに承諾をとらなきゃいけないとなった。押井さんは快諾してくれるだろうなと、そこまではわかっていたけど、クレジットに“予告編承諾”として押井さんの名前を入れることは、データを見て初めて知りました。

――“予告編承諾”というのは、見たことがない肩書きですね。

真木  トメ(最後)の監督の直前に押井さんが入って、HEADGEARの5人全員の名前が入ったというのは、出渕さんのすばらしいアイデアでした。『EZY』には、押井さん以外の4人しか関わっていないけど、出渕さんなりに押井さんへのリスペクトをクレジットで示したのは、とてもよかった。

『EZY』公開のために背負った、重すぎる責任

――『機動警察パトレイバー EZY』プロジェクト始動のきっかけは、HEADGEARの再結成にあったと思いますが、その経緯を教えてください。

真木  押井さんの実写版をきっかけに、メンバーと「押井さんが実写をやるなら、ほかの4人でアニメをやりたい」という話をするようになりました。
そこはプロデューサーの僕の仕事だから、前身となる「有限会社ヘッドギア」から新しい『パトレイバー』を作れるように5人で「株式会社HEADGEAR」を設立してもらいました。

――『EZY』を作るにあたって、一番大事にしたことを教えてください。

真木  これだけ長きにわたってみんなが「好きだ」といってくれるってことは、『パトレイバー』の半分はファンのもの。その人たちを裏切っちゃいけない。新作を作るとなると、新しいファンに見てほしいという気持ちが出てくるんだけど、いままでのファンと新しいファンを両方満足させるのはやっぱり難しい。
だから僕は「新しいファンは、あとからついてきてくれればいい」と考えて、いままでのファンを裏切らないことを最優先に考えました。だけど、結局のところ、ヘッドギアの人たちが作っているかぎり、ファンの期待を裏切るようなものはできない。たぶん作ろうと思っても作れない。結果的に、ファンのみなさんの満足度も高いようなので、よかったなと思っています。

――初号試写(完成直後に関係者向けに行う最初の試写)のときに、真木さんが涙を見せたという話をうかがいました。それだけの思いがあったんですね。

真木  出渕さんが勝手にいってるんだよ(笑)。でも感無量ではあった。単純に新作を作ったというだけじゃなくて、HEADGEARという会社を作らせて、全部背負ってやってきたわけじゃないですか。しかも、これだけファンがいるシリーズです。重すぎる責任を、会社じゃなく個人のプロデューサーが背負っているつもりなんです。だからクレジットも単独なんです。

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中島文華

中島文華 (なかじまあやか)

大阪府出身。Webや雑誌で、アニメや2.5次元舞台関連の記事を書いています。趣味はミステリー小説を読むこと。
Xアカウント:中島文華(@nakajima___a)

ヤマモトカズヒロ

ヤマモトカズヒロ (やまもとかずひろ)

エンタテインメント作品宣伝稼業。主な担当作品:『悪魔くん』『PUI PUI モルカー』『この世界の片隅に』『ケータイ捜査官7』『午前十時の映画祭』『映像∞文化のまち ねりま』『調布シネマフェスティバル』など。VECTOR Magazine編集部所属。
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