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【ネタバレ注意】劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』公開記念! 脚本家・大倉崇裕が描く『名探偵コナン』の世界

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浅葱は影のあるいいキャラクターになった

――オリジナルキャラクターについても聞かせてください。キャラクターの見た目なども大倉さんから提案されるんですか?

大倉  見た目や服装などはノータッチですね。書くのはあくまでセリフや行動だけで、細かいところは青山先生や監督にお任せしているので、設定画を見るまでどんな顔や格好をしているのかも知らないんですよ。

――元白バイ隊員の浅葱一華は千速の先輩ですが、ふたりの関係についての裏話はありますか?

大倉  千速を描くなら誰かライバルを出そうとなりました。白バイの大会で千速が1位で浅葱が2位になり、人知れず浅葱がライバル心を燃やしているといったシーンも当初はあったんですけど、尺の関係でカットせざるを得なくて。試行錯誤の結果、影のあるいいキャラクターになったと思っています。エンディングの浅葱の姿は、印象に残っていますね。

――千速が乗る白バイ・エンジェルを開発した大前一暁についても教えてください。

大倉  最新鋭の技術を使ったプロダクトが出てくるときは、マッドサイエンティストが必須じゃないですか。当初は技術力を求めすぎた結果、暴走してしまうマッドサイエンティストをイメージしていたんですが、ほかの要素と噛み合わせていくなかで、現状の姿になりました。終盤の横浜流星さんの声がすばらしいんですよね。思わず拍手しちゃうような演技で、してやったりという気持ちでした。

――舘沖みなとはメガネ姿でしっかり者の警察官という設定から、大倉さんの小説『福家警部補』シリーズの探偵役・福家に似たイメージを感じました。

大倉  意識したわけではないんですよ。でも本編で実際に動いている姿を見たら、畑芽育さんの声もすごくよくて「ちょっと福家っぽいな」と思いました(笑)。

千速と重悟のラストシーンに向かって話を進めていった

――青山先生との打ち合わせで、印象的だったことを教えてください。

大倉  落ちてくる千速を重悟が抱きとめるお姫様だっこのシーンは、青山先生のアイデアで、最初の打ち合わせでほぼ決まっていたんです。 打ち合わせのときに「こう落ちてきて、こう受け止めて、こういう顔で」と鉛筆で詳細な絵を描いてくださって。その絵は、うちに秘蔵されている宝物なんですけれど(笑)。あのシーンが早くから決まっていたので、それに向かって話を進めていく気持ちでした。やっぱり、青山先生の発想はすごいんです。バイクアクション後に落下して、最後にお姫様だっこされるなんて、普通はどうがんばっても出てこないよなって。かなり刺激を受けて、打ち合わせから帰ったのを覚えています。毎回思ってもみないアイデアをいただけるので、おもしろいんです。
ちなみに、お姫様だっこのシーンの神々しい光は、脚本にはなかった演出です(笑)。重悟の「悪かったな、松田陣平…」というセリフも、青山先生が考えてくださったんですが、演出とあわせてすごく印象的ですね。

――ほかにも青山先生発案の印象的なシーンやセリフはありますか?

大倉  ワイヤレスイヤホンは青山先生のアイデアでした。ルシファーに襲われたコナンと世良を、蘭が助けにくるシーンがあるんですが、蘭がどうやってコナンの居場所をつかんだのか、私はぼかして書いていた。でも2稿か3稿のタイミングで「イヤホンを持っていたらわかるよね」といわれて、一発解決でした。ミステリー的な部分なので、本来は自分が考えないといけないところだったんですが、強烈なアイデアでしたね。

――コナンが周りの人に発信機をつけるのは定番ですが、今回はコナンの居場所を蘭が意図せず突き止める展開で新鮮でした。

大倉  世良に発信機を仕かけるところなんかは私が考えたんですけど、イヤホンに関してはまるまるアイデアを頂戴しました。小説と違って、脚本はみんなで話しながら作っていくものなので、こういうこともあるのがおもしろいんですよね。

――蘭に加えて、世良のバトルシーンもありました。空手経験がある大倉さんが、バトルシーンの動きも指定されたのでしょうか?

大倉  蘭や世良の場合、どんな動きをするかはスタッフ間での暗黙の了解みたいなところがあるので、今回はそんなに細かく書いていないです。世良のシーンのト書きだと、シチュエーションと、相手の人数、“ジークンドー”と書くくらい。蘭が現れてルシファーを蹴り飛ばすシーンも「前にもやったよね。わかるでしょ?」という感じで監督に丸投げしました(笑)。2019年の劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』のときは、シンガポールの屋台で京極さんが戦うシーンで「香港映画みたいに、こういう雰囲気で」と、細かく書いていたんですけれど。

――オープニングでは、すでに亡くなっている研二と松田の会話にコナンがつっこむ演出がされていましたが、これは大倉さんの発案ですか?

大倉  オープニングは、毎回決まったセリフを踏襲しつつ、スポットがあたるキャラクターの部分はある程度書いています。ただ、研二と松田のやりとりに関しては、すべて青山先生ですね。最初は天使の輪っかつきのふたりを描いてくださったので、その絵もこっそり家にあるんですけれど。メタ的なやりとりなので「ちょっとやりすぎじゃないですか?」と思いながらも、セリフは全部いただきました(笑)。

――完成した作品をご覧になった感想を教えてください。

大倉  アクションシーンが多いけれど、詳細なト書きは書かずに、ロケハンも含めてアクションシーンはお任せしました。完成するまで、どこで、どんなタイミングで、どんなアクションが行われるかは知りませんでした。

驚いたのは最後のシーンです。ヘリが直撃するといくらなんでも橋が壊れるだろうと気をつかって、ヘリが脇にそれて、地面に墜落すると書いたんですけれど、実際に見たら「橋に落ちてんじゃねえか!」とつっこむ羽目に(笑)。監督に伝えたら「やっぱり派手にいきたくて」といわれました。 あと、横浜は土地勘があって、元町や中華街あたりはよく知っているので、ロケハンの成果もあって、ばっちり再現されているのを「あ、ここはあの店だ」と楽しみながら見ていました。自分のなじみがある場所が作品の舞台になるのは、こういう喜びがあるんだなと実感できました。

――はじめてタッグを組まれた蓮井隆弘監督の印象はいかがですか?

大倉  複数回ご一緒しているのは、『紺青の拳』と『100万ドルの五稜星』の永岡(智佳)監督だけです。いつも監督とは最初の打ち合わせではじめてお会いするんですが、蓮井監督は劇場版は初監督だということで、ずっとソワソワされていました(笑)。その姿を見て、自分はまだ脚本初心者のような気持ちでいたけれど、考えてみたらもう『名探偵コナン』も5作目なんだと気づかされました。

実際にできあがった映像を見たら、緩急などがすばらしくて。私はバイクの免許を持っていないので乗ったことはもちろん、誰かの後ろに乗せてもらった経験すらない。あんな脚本を書いているのに、バイクの疾走感を知らないんです。でも監督はバイクに乗るので、その感覚を知っているのがすごく心強かったですね。ずっと走っていて、風を受けているようなバイクアクションが理想だと思いながら書いていたので、お任せしてよかったです。

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