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【ネタバレ注意】劇場版『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』公開記念! 脚本家・大倉崇裕が描く『名探偵コナン』の世界

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エピローグは心を鎮める時間

――脚本段階では、映像の完成形をどのくらいイメージされていますか?

大倉  脚本の場合は、必ず自分の頭のなかで絵にしながら書いています。その通りになるかはわからないし、実際の絵としては今回のアクションのように想像を超えたものになったりするので、なにが来てもかまわない気持ちですけれど。なにより気になるのは、リズムとタイミングです。小説でも文体よりリズムを大事にしていて。これは、落語が好きな影響だと思います。子どものころから落語を聞いていたので、会話のテンポ感が染みついているんです。それを脚本や、アクションに応用している。今回も場面ごとに、バイクがどのくらい飛んでから着地するのかなどは考えていますね。中華街の廃ビルにコナンと世良が追いこまれたシーンも、どのタイミングでバイクが入ってくるのかなど、すごく気にしています。体感的な部分で、うまく言葉にするのは難しいんですけれど。自分のなかでは、これで110分という完成形があるけれど、それにこだわるつもりはないので「ここから先はどう崩していただいてもかまわない」という気持ちでお渡ししています。できあがったものを見て「これは違うな」と感じたことがないという信頼感があるので、お任せしちゃう感じですね。

――ト書きで指定するのではなく、脚本の書き方でリズムを伝えられているのでしょうか。

大倉  そうですね。例えば、110分の映画で脚本の内容が1枚1分のペースだとすると、51枚目で中盤の盛り上がりだと決めたシーンが自然と出てきたら成功。自分がやっていることは間違っていない、と感じるんです。『名探偵コナン』だとそれができて、調節するために足したりすることがあまりないので、自分にあっていると思いますね。そういえば、東宝のプロデューサーの方に、読みやすい脚本だといっていただいたことがあるんですが、当時は脚本の経験がなかったので「脚本に読みやすいとかあるんだ」と驚きました。

――本作の裏話を教えてください。

大倉  エンディング後にエピローグ的な映像が入るじゃないですか。初脚本では、そこまでできなかったんですが、『紺青の拳』以降はその1~2分の間で見せ場があってオチがつく構成を心がけています。でも、あえて今回はダイナミックなことが起きない、凪の状態のまま終わるようにしました。エンディングが終わった時点で、次回作である30弾の特報が気になってしょうがないだろうから、みなさんが心を鎮める時間にしようと(笑)。初号試写で見たときに、やはりすごい特報が来たので、狙い通りでしたね。

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