『新幹線変形ロボ シンカリオン』シリーズ 10周年プロジェクト 出発進行!
3シリーズのアニメ作品
2018年1月、ついにTVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』がスタート。放送は、当初の予定を延長して1年半続き、2019年12月に劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』が公開。2021年には、TVアニメ第2期『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』(以下、『シンカリオンZ』)、2024年にはTVアニメ第3期『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』(以下、『シンカリオンCW』)が放送された。

――アニメには実際の車両や関連施設が多数登場しました。印象的な思い出はありますか。
横山 個人的な目標として「本物の新幹線を見た子どもたちに『シンカリオンだ!』って言ってもらう」というのがあったんですね。ありがたくもその場面に遭遇することができたのですが、小さい子には「シ」の発音が難しいから、「チンカリオン」って言っていて(笑)。それがすごくかわいかったのは、いまでも覚えています。
鈴木 出張で東京駅とかに行くと、新幹線の連結部分を見ようと子どもたちが集まっているんですね。そこにいる子たちの大半は、シンカリオンをイメージしてくれている。それはうれしかったですね。
根岸 リアルとフィクションが融合している作品じゃないですか。なので、新幹線が通ったときに「あれ実はシンカリオンなんじゃないか」と思って見ている子たちがいるのは、うれしいですよね。この作品だからこそできた成功体験でした。あとは、劇中でTVアニメ第1期主人公のハヤトが入ろうとした、鉄道博物館(埼玉県さいたま市)の地下施設への入り口を、実際に作っていただけたんです。従業員専用の扉に「新幹線超進化研究所」「関係者以外立ち入り禁止」の札を貼っていただいて。来館したお客さんが、その扉の前で「シンカリオンはこの下にあるんだ」と見てくださっていたことが印象深いですね。
横山 小さい子が警備員さんに「(超進化研究所への)扉はどこですか」と聞いていたんだよね。本当に「地下に秘密の基地がある」って、思ってもらえている。その状況ができたのがすごくよかったですね。
施設の地下に特務機関「新幹線超進化研究所 東日本指令室 大宮支部」が存在している―――そんな設定の鉄道博物館。放送当時にあった「超進化研究所への扉」は撤去されているが、現在でも超進化研究所を示す看板が館内某所に掲出されている(2025年4月、筆者撮影)
2025年5月現在、鉄道博物館ではTVアニメ第1期のオリジナルストーリー(全2種)を観られる4Dシアターアトラクション『新幹線変形ロボ シンカリオン 360°ザ・ムービー』が2025年9月末まで上映中。詳細は鉄道博物館公式サイトをチェック。
相思相愛のコラボレーション
――本作は、様々な”コラボレーション”も魅力のひとつです。皆様の印象的なコラボはなんですか。
鈴木 もちろん『エヴァ』ですね。

『エヴァンゲリオン』シリーズ総監督の庵野秀明さんも新幹線や鉄道がお好き。アニメ第1期の第1話では、お褒めの言葉をいただきました。ある種「認めてくださった」と受け取っています。
我々”エヴァ世代”でもあるので、とにかく(コラボを)やりたかったんですよ。

TVアニメ第1期放送が始まったばかりのころ、JR西日本さんの「500系」という新幹線が、『エヴァンゲリオン』のラッピングを施されていたんです(2015年11月7日~2018年5月13日)。「これ絶対シンカリオンにしたいよね」と。
横山 山陽新幹線「500 TYPE EVA」は、初号機の模様になっていて、車体にキャラクターは描かれていないんです。単なるキャラクターラッピングではなく、ちゃんとデザインになっているところが、シンカリオンにしやすかったなと感じています。

先方も乗り気でした。使徒をモチーフにしたオリジナルの巨大怪物体「キングシトエル」を登場させよう!とか、どんどん提案が出てきて……我々も「いいの!?」みたいな。
――TVアニメ第1期・劇場版とコラボレーションした後、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開(2021年3月)から間もないTVアニメ第2期『シンカリオンZ』(2021年9月)でもコラボ回の放送がありました。
鈴木 『シンカリオンZ』のときは、もうコラボやめようかみたいな議論もあったんですけれど、やっぱり第1期・劇場版の反響がすごくよかったので、再度コラボすることになりました。実際は、どうコラボレーションさせるかっていうアイディアを出すのが大変で、作品担当者と何回も打ち合わせをして、あの形になりました。

横山 ほかに印象深いコラボだと、『銀河鉄道999』のメーテルですね。『シンカリオンZ』で、「シンカリオン H5はやぶさ」の運転士「月野 メーテル」として登場させました。
キャラクター作りの会議が盛り上がったのを覚えています。「幼少期のメーテルってどんななんだろう」「帽子は長いのかな?」みたいな。

鈴木 コラボって、一方通行ではうまくいかない。でも、なぜかシンカリオンは、相手方にご相談すると相思相愛になるんですよ。