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『新幹線変形ロボ シンカリオン』シリーズ 10周年プロジェクト 出発進行!

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10周年イベントレポート

2025年5月4日、TAKANAWA GATEWAY CITYで、『新幹線変形ロボ シンカリオン』シリーズ10周年記念イベント「SHINKALION 10th Anniversary Special Talk ~『シンカリオン』とアニメの未来~」が開催された。
イベントが開催されたTAKANAWA GATEWAY CITYは、JR東日本が主導する、高輪ゲートウェイ駅直結・国内最大規模のエキマチ一体の街で、”100年先の心豊かなくらしのための実験場”というテーマが掲げられており、2025年3月27日に「まちびらき」されたばかりだ。
そんな最先端の場所で行われたイベントは、まさに『シンカリオン』シリーズの「未来」を予感させる内容だった。

 

老若男女幅広い層のファンが集結し、会場は満席に。

イベントは全2部構成。第1部は、佐倉綾音(TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』速杉ハヤト役)、津田美波(TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』新多シン役)、石橋陽彩(TVアニメ『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』大成タイセイ役)の各シリーズで主役をつとめた3人が集結し、シリーズ初となるクロストークを展開。第2部では、アニメシリーズのCGスタッフである山野井創(CGプロデューサー)、滝田勇介(CGアニメーター)、久能木亮(CGディレクター)そして鈴木寿広(チーフプロデューサー)による、クリエイティブな内容のトークショーが実施された。

3人の「E5はやぶさ」運転士が登壇

佐倉は「俺は『時間と言った事は守る男』だからね!(ハヤト)」、津田は「可能性はゼロじゃない!(シン)」、石橋は「……何かを守れる、カッコイイ人に。僕は――(タイセイ)」と、各キャラクターの決めセリフを披露しながら登場し、第1部スタート。

 

左から佐倉、津田、石橋。

2018年~2019年放送のTVアニメ第1期『新幹線変形ロボ シンカリオン』に出演していた佐倉は、『シンカリオン』関連イベントに約5年ぶりの登壇。客席を巻き込みながら軽妙なトークを展開し、初代”座長”の安定感を見せる。
津田が出演したTVアニメ第2期『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』(以下、『シンカリオンZ』)は、2021年コロナ禍中の放送。当時予定されていたリアル開催のイベントが、急遽無観客の配信イベントに切り替わったことも。ファンは初めて生で聴くシンの声や作品の裏話に大盛り上がり。
最新作であるTVアニメ第3期『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』(以下、『シンカリオンCW』)主演の石橋は、先輩「E5はやぶさ」運転士キャストと並んで緊張した様子を見せながらも、作品愛を力強く語り、ファンはあたたかい拍手でこたえた。

3シリーズにわたって受け継がれるディレクション

トークコーナーでは、各作品のアフレコの思い出についてキャストが語った。

 

収録開始当時19歳と、『シンカリオンCW』の現場で最年少だった石橋。「先輩のみなさんの背中を見て、お芝居を聴いて『自分もタイセイとしてがんばらなきゃ』と。毎日必死に『シンカリオンCW』のことを考えていました」という。「中学生ならではの葛藤が行き交う作品だったからこそ、お芝居はすごく難しかったです。昔の自分はどちらかというと(当初の)タイセイのように、周りのみんなに合わせちゃう中学生。だからタイセイがアカネとリョータに『自分はこうしたいんだ』という思いを打ち明けたときは、タイセイすごいな!僕はできなかったな、と感じました」と演じたキャラクターに思いを馳せた。

 

津田は「アフレコはごく少人数で、それもアクリル板を隔てての収録。スタジオの皆さんとは最低限の挨拶しかできなかったので、(先輩の芝居を見ながらアフレコしていた)陽彩くんの話を聞くとうらやましいです」と、コロナ禍の『シンカリオンZ』収録を振り返る。「けれど、『シンカリオンZ』の放送に救われている人たちもいっぱいいると思うから、みんなで作品を盛り上げよう、『この危機を戦おう!』という気持ちでキャスト・スタッフ一丸となっていました。当時『シンカリオンZ』を観ていたみんなには、自由に旅行や移動ができるようになったいま、いっぱい新幹線に乗ってもらいたい!」と語った。

 

佐倉は、一番最初に「ハヤトを熱血主人公にしないでください」と言われたことが印象に残っているという。「『オタクでシティボーイなので、もちろんそういう熱がこもるシーンは熱血になっていいし、戦うなかでどんどん熱血になっていくのはまったく問題ない。だけどベースは<オタクの男の子>なんです』って。私もどちらかというとオタク系で、小さいとき鉄道博物館に連れていってもらっていたほど、鉄道が大好きな子どもだったんです。親が『シンカリオン』を見て、『綾音の子ども時代こんな感じだったね』と言っていたくらい。そういうリンクがあるので、役柄を作るというより『ハヤトとしてちゃんと生きる』ということを念頭に置いていました。”大人の自分が演じているハヤト”になってしまわないよう(自身に蓄積した)経験値を下げることを意識しました」と当時を懐かしみながら語った。

 

イベント内では「高輪ゲートウェイ駅」の名前が登場した『新幹線変形ロボ シンカリオン』第71話の一幕を会場全員で見る場面も。2019年当時、新駅名の発表から間もない劇中登場だった。

『シンカリオン』シリーズの音響監督は、全シリーズ共通して三間雅文が担当。そこに”受け継がれているディレクション”があるという。
「印象に残っているのが、周りの大人役キャストへの『子どもをシンカリオンに乗せる、”子どもが闘う”ことを大人たちはちゃんと意識してください』というディレクション。私が演じるシンくんは、子どもで乗る側ですけど、それを聞いたときに『子どもたちが命を懸けてシンカリオンに乗るのはすごいことなんだ』っていうのが身にしみましたね」と語る津田に、佐倉・石橋も続く。

佐倉が「親御さんが楽しんでくれているって意見もありますよね。うちのシリーズだとお父さん(速杉ホクト)もシンカリオンを運転しますからね!劇場版だと小さくなりますからね!」というと、会場からは大きな笑い声が。

「『一緒にちゃんと大人も戦ってください』『(子どもに対して)行ってこい!ではなく、大人も一緒に傷ついて、一緒に闘う気持ちで』というディレクションは第1期から脈々と受け継がれているかも」と佐倉。
「間違いなくそのディレクションは『シンカリオンCW』にも受け継がれていた」と石橋も強くうなずいた。

佐倉が「親御さんが楽しんでくれているって意見もありますよね。うちのシリーズだとお父さん(速杉ホクト)もシンカリオンを運転しますからね!劇場版だと小さくなりますからね!」というと、会場からは大きな笑い声が。

激レア!新多シンの”鉄道語り”

第1部の後半では、本シリーズならではの「鉄道語りチャレンジ」コーナーを用意。佐倉が担当したハヤト、石橋が担当したタイセイは大の「鉄道ファン」の設定。作品の随所で披露する”鉄道語り”を、津田がチャレンジするという内容だ。シンを担当した津田は「シンは妖怪とか”謎”が好きな男の子だった。相方のアブトの方が鉄道大好きだった」と慣れないチャレンジに身構える。

『新幹線変形ロボ シンカリオン』第54話より、「ちっちっちっ。違うんだなー 東京駅の東海道新幹線ホームは、14番線から19番線まで、全部で6本あるんだ! さらに東北・北陸新幹線も含めたら、合計10本! 全部のホームから出発するには、ただでさえ最低10回乗らなきゃいけないんだ! 全てのホームから発車するのが新幹線ファンのたしなみだよ」のセリフを披露。

最初のお題は、新幹線ファン・ハヤトのこだわりが詰まったセリフ。「とにかく早口で読む」という佐倉のアドバイスで挑戦した津田の語りは、もちろんシンのボイス!レアな”鉄道語り”が披露され、会場は熱狂。さらに、手本として佐倉がハヤトのボイスで”再現”し、会場のボルテージは急上昇。

『新幹線変形ロボ シンカリオン』第54話より、「ちっちっちっ。違うんだなー 東京駅の東海道新幹線ホームは、14番線から19番線まで、全部で6本あるんだ! さらに東北・北陸新幹線も含めたら、合計10本! 全部のホームから出発するには、ただでさえ最低10回乗らなきゃいけないんだ! 全てのホームから発車するのが新幹線ファンのたしなみだよ」のセリフを披露。
『シンカリオンCW』第14話より、「『East i-E』 JR東日本が所有する在来線用の電気・軌道総合試験車つまり検測車だよ。電化路線の軌道架線信号を検測するために運用されているんだ」のセリフを披露。

続いて、レア車両を前に興奮するタイセイのセリフにチャレンジ。タイセイ同様に「鉄道ファン」の石橋は、「ポイントは検測車をイメージすることです!」とアドバイスにも熱が入る。

『シンカリオンCW』第14話より、「『East i-E』 JR東日本が所有する在来線用の電気・軌道総合試験車つまり検測車だよ。電化路線の軌道架線信号を検測するために運用されているんだ」のセリフを披露。

「難しい漢字ばっかり……」と困惑する津田だが、今回もシンのボイスで難なく読み上げる。チャレンジ後には石橋によるタイセイの”再現”も披露され、会場は拍手喝采で盛り上がった。

ラストはキャストからのメッセージで締められた。

 

石橋「皆さんの”シンカリオン愛”そして”鉄道愛”があるからこそ、この作品はまだまだ盛り上がっていくと思います。『シンカリオンCW』は放送が終わってしまいましたけれども、『シンカリオン』シリーズ10周年でプロジェクトがたくさん立ち上がっていくと思いますので、これからも『シンカリオン』シリーズの応援をよろしくお願いいたします」

 

津田「やっぱり『シンカリオン』ってすごいな!素敵だな!と、皆さんの愛をこんなに思い知らされるイベントになるとは思いませんで、ほんとうにたくさんの人に愛されてるんだなって改めて思いました。先ほども話しましたが、皆さんにどんどん新幹線に乗っていろんなところに旅に出てもらいたいな、そして故郷に戻ってもらいたいな、って思っております。可能性は無限大!」

 

佐倉「『シンカリオン』見てましたとか、『シンカリオン』を見て育った娘・息子はこんなに大きくなりましたとか、そんなふうに言っていただけることが結構あって、とてもうれしいなと思っております。(津田・石橋を見て)こうして『シンカリオン』の血を継ぐものたちがこのコンテンツを引き継いで盛り上げて、ファンの人たちをずっと虜にさせ続けてくれているということが、このイベントにも繋がっていると思いますし、今日こうやって老若男女問わずいろんな方が遊びに来てくれたのは、とてもうれしいです。やっぱり『シンカリオン』の魅力って、自分たちの身近にある新幹線が変形して、かっこ良く立ち回って私たちのことを守ってくれるところ。きっとこの先もここにいる皆さんは、鉄道や新幹線を見るたびに『シンカリオン』のことを思い出してくれるんじゃないかな、と思います。そうやってみなさんの心の中に作品が残っていくことが、コンテンツとしての、作品としての、役者としての幸せでもあるので、引き続き『シンカリオン』シリーズの応援をよろしくお願いいたします」

とそれぞれ挨拶し、第1部は幕を閉じた。

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