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水木しげる記念館
リニューアルオープン レポート

水木しげる記念館
リニューアルオープン

鳥取県境港市の水木しげるロードにある水木しげる記念館は、2024年4月20日(土)にリニューアルオープンした。

リニューアルオープン当日は、開館時間前から300人以上の来場者が列を作り、その周囲を取材マスコミ陣が取り囲んだ。
9時30分のオープンが迫ると、鬼太郎、ねこ娘、ねずみ男、砂かけばばあに加えて、伊達憲太郎・境港市長がお出迎えに立つ。庄司行男館長の音頭で、集まった観客とともにカウントダウンがコールされ、晴れてにぎやかに開館した。

新しい水木しげる記念館の展示内容

新しい記念館は、2階が展示室となっていて、その展示は全体が6章で構成されている常設展示と、企画展示から成っている。1階には、水木マンガが自由に読めるライブラリーとオリジナルグッズなどが購入できるミュージアムショップ「な・ぷーんストア」がある。

常設展示

水木しげるの人生を追体験するようにストーリー立てられている。

第1章は「境港のしげる少年」。境港での幼少期が年表で示されるが、やはり「目に見えない世界」を教えてくれた「のんのんばあ」の存在が大きな印象を残す。また少年期に描かれた絵画の数々も展示されているが、天才的な絵の才能に圧倒される。

 

 

第2章は「水木しげると戦争」。水木の人生に多大な影響を与えた南方の島・ニューブリテン島での戦争体験。年譜と地図、漫画に描かれた絵などで、当時の様相をひしひしと感じられる。一角にある水木シアターで上映されているのは「娘に語るお父さんの戦記」。過酷な戦場を生き延びた体験記が映像化され、娘である原口尚子(長女)と武良悦子(次女)がナレーションを担当している。父から娘に。娘からその下の世代の多くの人へ。伝えなくてはならない、戦争体験のバトンが確かに手渡されていく空間になっている。

 

 

第3章は「そして漫画家に」。戦後の、日本中が貧困にあえぐ苦しい時代。いくつもの仕事をしながら、それでも絵の腕を磨き、ついに漫画家として世に出ていく様子が示されている。

 

 

第4章は「水木しげるが描いた妖怪たち」。章の頭に「妖怪洞窟」がある。これはリニューアル前の記念館で人気展示だったもので、43体の妖怪が潜んでいる洞窟だ。新たな洞窟では、妖怪たちを以前より間近に見ることができ、細部まで行き届いた造形をじっくりと味わえる。また光と音を巧みに使った演出で“気配の展示”を現出させている。
「妖怪洞窟」を抜けると、水木しげるが描き出した数々の妖怪画の中から代表的なものが、出現シチュエーション別に展示されている。

 

 

第5章は「水木しげるの漫画ワールド」。『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』『河童の三平』ほか数多い作品の中から代表的なものが紹介されている。漫画原稿(複製)の展示もあり細かいペン使いをじっくりと見ることができる。

 

 

第6章は「水木しげるの言葉」。「けんかはよせ、腹がへるぞ」「のん氣にくらしなさい」「なまけ者になりなさい」など、作品やエッセイなどに残された数々の言葉のなかから選び抜かれた珠玉の名言が、部屋の壁一面に貼られている。苛酷な体験を生き抜き、目に見えぬ世界を信じ、膨大な作品を遺すに至った人生を経て発せられた言葉。そのひとつひとつが、じわりと心に語りかけてくる空間だ。

 

企画展

リニューアルオープン最初の企画展として「鬼太郎の誕生 ‐生まれかわる四つの物語‐」が実施されている。
ここは水木しげる記念館で唯一、原画展示ができるスペース。貴重な原稿が展示されている。

「鬼太郎の誕生」のエピソードは、発表媒体を変えて何度か描き直されている。
その複数の「鬼太郎の誕生」を比較して展示。タッチや表現方法、展開の微妙な違いなどを見比べながら堪能できる。
大ヒット映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のコーナーも。映画公開までに作られた複数のポスターと鬼太郎誕生場面の情景展示が、企画展のラストを飾る。

 


水木しげる記念館 館長・庄司行男

「大漫画家・水木しげるの生涯を、余すところなく吸収して帰ってほしい」。ニューアルオープン初日の囲み取材で、館の再開に感極まった庄司行男館長が涙ぐみながらこうコメントした。

鬼太郎だけじゃない。妖怪だけじゃない。水木しげるという人の歩んだ道をたどることができる、新たな水木しげる記念館。ぜひゆっくりと時間をかけて体験してほしい。
鳥取県境港の、三方を海に囲まれた特異な地形、そこで獲れる紅ズワイガニほかの絶品海産物の味わい、そして駅前から続く水木しげるロードの多彩な妖怪モニュメントと商店街。特別な魅力にあふれた境港のあれやこれやとともに。

取材・執筆:ヤマモトカズヒロ(編集部)

 

©水木プロダクション

水木しげる記念館

【所在地】〒684-0025 鳥取県境港市本町5番地

【開館時間】9時30分から17時まで(最終入場は16時30分まで)

【休館日】年中無休

【チケット】日時指定の前売券と当日券あり。前売券は予約時間に確実に入場可能。

 

※詳しくは水木しげる記念館 公式ホームページにてご確認ください。

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