愛と情熱がボルトイン! 時代を超え蘇った『ボルテスV レガシー』
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愛と情熱をそのまま直輸入したという形
――映画『ボルテスV レガシー』は、日本公開用のオリジナル再編集版とお聞きしました。
篠崎 元々、フィリピン国内では、プロローグ的な映画が先に公開されて、そのあとにテレビシリーズを放送してるんです。けれども、そのバージョンを日本に輸入したわけじゃなくて、初出の映像を加えて、新たに編集を施した新バージョン「超電磁編集版」として制作されました。
フィリピンの映画版は107分だったんですが、「超電磁編集版」は97分。カットしたシーンもあって時間は短くなったんですけど、バトルシーンを増やし、全編、最新デジタル技術を使って、より高解像度のデジタル・マスターを作成する「リマスタリング」をかけ直してるので、画もサウンドもかなりクリアになっています。フィリピン版とは違うので、日本にいるフィリピンの方にも、ぜひ見ていただきたいなと考えています。
――再編集やリマスタリングはフィリピン側で作業をされたんでしょうか。
篠崎 そうですね。新たな編集である「超電磁編集版」は、こちらから提案した内容であるんですけれども、フィリピン側で作業をやっていただいたら、想像を上回るような作品が返ってきました。フィリピン版の映画は、映像が完成してから放送日が迫る中で作ったんで、現地のスタッフさんの間でも、もっとやっておけば、よりよい作品になったのに、みたいな感覚があったらしいんですよ。それを少し時間が経って落ち着いた現在、もう1回、追い込み直している。その意味でも、ちょうどいいタイミングだったと思いますね。
――日本に逆輸入されて、吹替版も制作されました。
篠崎 やはり元がアニメ作品なんで、吹き替え作業は絶対に必要と思いました。ファンの方から「オリジナルのキャストを!」というご意見もあったのですが、残念ながら既に他界されている方や引退されている方もいらっしゃるので、いろいろご無理を申し上げつつ、現在の配役になりました。
――今後の公開や放映に関して、お聞かせください。フィリピンでの放映は全90話ですが、日本の放映版は話数が短くなりますよね。
篠崎 映画『レガシー』自体は90話全部をフォローできておらず、90話の中の17話ぐらいまでを編集しているんです。アニメのボルテスVを知っているファンの方で、もし映画が気に入っていただけたら、そのまま90話にジャンプアップできると思うのですけど、ライトファンは、いきなり90話のフルマラソンは走れないですよ(笑)。フルマラソン走るためには、1回ハーフを走らなきゃダメじゃないですか。だから、もう一段ステップを用意しないといけない。そのためのステップが20話に構成された「超電磁リスペクトTV版」だと思っています。20話で『ボルテスV』とはなんなの? みたいなものを感じてもらった上で、90話に進んだ方がスムーズだと思ったんです。そもそもすごい物理的な話をすると、日本で90話を流せるような放送枠がないのです(笑)。
――番組構成は、90話から抜粋した20話なんでしょうか。
篠崎 抜粋ではなく、90話を20話に編集し直して、ストーリーがちゃんと1から10まで分かるような構成になっています。編集は日本で行って、フィリピン側に確認してもらい、その意見を参考に再び直すという作業を続けています。
この20話が楽しめたら、そのまま90話に行こうという話ですが、まだ、どんな形で90話がお届けできるか分かりませんので、まずは超電磁編集版の映画と「超電磁リスペクトTV版」を楽しんでいただければと思います。
――ファンのもうひとつの楽しみは、商品化だと思います。なにか面白い展開はございますか。
篠崎 バンダイさまからは「超合金魂 GX-31SP 超電磁マシーン ボルテスⅤ CHOGOKIN 50th Ver.」が発売されていますが、そのほかにも、来年2月にレガシー版の関節可動がすごいことになっているフィギュア「ROBOT魂<SIDE SUPER> VOLTES V」が発売されます。またバンダイさん以外にも、商品化に興味を持っていただいてるメーカーさんがいらっしゃって、今後もファンの皆さんによろこんでいただけるような情報をお出しできると思います。
それから公開に合わせて劇場で販売される劇場用パンフレットは、50ページを超えるページ数になっていて、実写シリーズに登場する全ビースト・ファイターの情報が掲載されているなど、値段と内容のバランスでいうと、かなりのクオリティに仕上がっています。実は私、映画のパンフレット集めが趣味なんですが、自分のコレクションの中でも、上位に匹敵する内容だと思っています(笑)。
――最後に、東映さまから見た映画『ボルテスV レガシー』の一番の魅力は、どんなところでしょうか?
篠崎 愛と情熱をそのまま直輸入したという形ですね。いい感じに、わかりやすくまとまっているので、オリジナルのアニメ版を知らない人にこそ見てほしいと思っています。コアなファンの皆さんを中心に熱量が高まってるところなので、このまま盛り上がればと。これが広がっていくと、なにか面白い現象が起きるんじゃないかなという気はしています。
まず10月18日に映画『ボルテスV レガシー』をぜひ見ていただきたいと思います。
『ボルテスV レガシー』
2024年10月18日(金)公開
配給:東映
©TOEI Co. Ltd, Telesuccess All Rights Reserved
監督:マーク A. レイエス V
脚本:スゼッテ・ドクトレーロ
シニア・エグゼクティブ・プロデューサー:ヘレン・ローズ・セセ、ラーソン・チャン
エグゼクティブ・プロデューサー:ダーリング・プリドトレス、ティージェイ・デル・ロザリオ、白倉伸一郎
キャスト:ミゲル・タンフェリックス、ラドソン・フローレス、マット・ロザノ、ラファエル・ランディコ、イザベル・オルテガ
マーティン・デル・ロザリオ、リーゼル・ロペス、カルロ・ゴンザレス、エピ・クウィゾン
アルバート・マルティネス、ガビー・エイゲンマン、デニス・トリロ、カーラ・アベラナ
製作国:フィリピン
原題:Voltes V: Legacy
製作年:2024年
『ボルテスV レガシー』ポータルサイト:https://voltes-v-legacy.jp/
『ボルテスV レガシー』オフィシャルX:@voltesv_legacy
篠崎直樹(しのざき なおき)
東映株式会社国際営業部営業室マネージャー。映画を含む映像作品の海外展開に携わり、各国での営業・企画を行っている。本作『ボルテスV レガシー』ではプロデューサーを務める。
マーク A. レイエス V(MARK A. REYES V)
1969年生まれ。フィリピンの映画、テレビ、ミュージックビデオの監督、映画作家。GMAネットワークのレジデントディレクター兼ライターで、数々の作品を制作している。主な作品に、2005年にスタートしたファンタジー・シリーズ「Encantadia(原題)」があり、アジア・テレビジョン・アワード、ニューヨーク・テレビ映画祭など多くの賞を獲得している。
2024.9.27 東映本社会議室 にて
取材協力:東映
画像協力:東映・東映ビデオ
取材・TEXT:幕田けいた
写真撮影:諸星和明
記事編集:ウォーターマーク(尾崎健史・諸星和明・池田倫夫)
プロデュース:ライトスタッフ(山本和宏・岩澤尚子・緒方透子)