愛と情熱がボルトイン! 時代を超え蘇った『ボルテスV レガシー』
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20年おきに巻き起こるフィリピンのボルテスV・ブーム

アニメ『超電磁マシーン ボルテスV』は、ヨーロッパを始め世界各国で放映されているが、その中でも1978年に放送開始したフィリピンでは、最高視聴率58%という大ヒット番組となった。当時の放送は、『ボルテスV レガシー』を作ったTV局・GMAネットワークで行われている。
しかし、空前の熱狂を巻き起こした初回放映は、最後の4話を残しながら途中で終わることになる。アニメの内容があまりに暴力的だとして一部の世論が動き、社会問題にまで発展。翌1979年、当時のフェルディナンド・マルコス大統領が『ボルテスV』の放送を禁止し、番組は中止となってしまったのだ。この背景には、外国文化の大量流入や日本企業台頭への危機感もあったと考えられている。
ようやく続きが放映されたのは、革命でマルコス政権が倒れた1986年だが、この放映打ち切り騒動は視聴者に強い印象を残して伝説化。この後『ボルテスV』は、フィリピン国内で20年おきのブームを起こしていく。
1999年、GMAで『ボルテスV』再放送が始まると、初放映時ファンだった子供たちが親世代となり、我が子と一緒にリバイバルブームを巻き起こしたのだ。

この「親世代ファン」のひとりがマーク A. レイエス V監督で、再ブームの熱を受けて、2004年から実写版リメイク企画に着手し始めたのである。
2017年、放送40周年を記念したファンイベントやコンサートがマニラで開催され、広い世代の間で再び『ボルテスV』が盛り上がりを見せはじめた。2023年(当初の放映予定では2020年)、ついに完成したレイエス監督の『レガシー』がGMAで放映されると、爆発的人気を獲得。親子三世代で楽しむコンテンツになった『ボルテスV』は、現在も新たな「レガシー(伝説)」を作っている最中なのである。