いま日本で見るべきストップモーション・アニメ作品 『JUNK WORLD』と『かたつむりのメモワール』
ストップモーション・アニメーション概論
ストップモーション・アニメーションとは、コマ撮りアニメとも呼ばれる、アニメーションのジャンルのひとつだ。人形を1コマずつ手で動かしながら撮影をするのが基本で、映画の1秒は24コマなので、1分間で1440コマ、1時間の作品だと8万6400コマ動かすことになる。もちろん、すべてのコマで動かすわけではないが、いずれにしても気の遠くなるような時間と手間が掛かる作業だ。
ストップモーション・アニメーションの歴史は古く、短編のアート系から長編のエンタテインメント系まで、数多くの作品が作られてきた。また、SFやファンタジー映画の特殊効果(特撮)の一種として、古くから活用されてきた技法でもある。
おもなストップモーション・アニメーション作品には、以下のものがある。
『真夏の夜の夢』(イジー・トルンカ/1959)
『チェブラーシカ』シリーズ(ロマン・カチャーノフ/1969-1983)
『道成寺』(川本喜八郎/1976)
『おこんじょうるり』(岡本忠成/1982)
『ストリート・オブ・クロコダイル』(ブラザーズ・クエイ/1986)
『ウォレスとグルミット』シリーズ(ニック・パーク他/1989-2024)
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(ヘンリー・セリック/1993)
『ニャッキ!』シリーズ(伊藤有壱/1995-2025)
『ジャイアント・ピーチ』(ヘンリー・セリック/1996)
『ファンタスティック・Mr.FOX』(ウェス・アンダーソン/2009)
『フランケン・ウィニー』(ティム・バートン/2012)
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(トラヴィス・ナイト/2016)
『犬ヶ島』(ウェス・アンダーソン/2018)
『PUI PUI モルカー』(見里朝希/2021)
『JUNK HEAD』(堀貴秀/2021)
『ギレルモ・デルトロのピノッキオ』(ギレルモ・デル・トロ/2022)
『HIDARI(パイロット版)』(川村真司/2023)
『JUNK WORLD』(堀貴秀/2025)
『かたつむりのメモワール』(アダム・エリオット/2025)
『My Melody & Kuromi』(見里朝希/2025)
など。
実写特撮(SFX)には、ストップモーション・アニメーションの技法を用いたシーンを部分的に取り入れた作品も数多くある。そのいくつかを紹介する。
『キングコング』(メリアン・C・クーパー/1933/ウィリス・オブライエンがコングの動きなどを担当)
『アルゴ探検隊の大冒険』(ドン・チャフィ/1963/レイ・ハリーハウゼンが、骸骨剣士など数々のクリーチャーの動きを担当)
『スターウォーズ 帝国の逆襲』(アーヴィン・カーシュナー/1980/フィル・ティペットがAT-ATの動きなどを担当)
『ロボコップ』(ポール・バーホーヴェン/1987/フィル・ティペットがED-209の動きなどを担当)
『アリス』(ヤン・シュバンクマイエル/1988/実写とストップモーション・アニメで構成された作品)
『マルセル 靴をはいた小さな貝』(ディーン・フライシャー・キャンプ/2023/実写とストップモーション・アニメで構成された作品)
近年は、CGの発達により、手作りのストップモーション・アニメーションの作品数は少なくなっている。一方で、CGによってストップモーション・アニメーションの動きを、リアルに再現した作品(『LEGO ムービー』など)もある。そんななか、莫大な予算を掛けた作品とは異なる、手作りで少人数かつインディペンデントな制作体制でありながら、多くの支持を集めるストップモーション・アニメーション作品も誕生している。
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©YAMIKEN簡単にストップモーション・アニメ映画について書いたが、上記の作品のいくつかは、配信でも見られる。気になる作品があれば、ぜひご覧頂きたい。
また、最新作である『JUNK WORLD』、『かたつむりのメモワール』、そして、公開が迫る『My Melody & Kuromi』。現在鋭意制作中の『HIDARI』などにも、ぜひ注目してもらいたい。
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