金子修介監督&吹越満氏登壇『ガメラ2 レギオン襲来』特別トークイベントレポート
「映画のまち調布 シネマフェスティバル2025」会期中に開催された『ガメラ2 レギオン襲来 <4Kデジタル復元版>』特別トーク付き上映。金子修介監督と吹越満氏が登場し、大盛況となったトークイベントの様子をお届けする。
「雪の中に立ってるガメラが見えます」

2019年より開催している「映画のまち調布 シネマフェスティバル」。前年に公開された日本映画から人気投票で上映作品を選定し、それ以外にも関連作品などが上映されている。
今年は、「映画のまち調布」の重要な拠点のひとつ、大映(現・角川大映スタジオ)から生まれた『ガメラ2 レギオン襲来 <4Kデジタル復元版>』(1996)が上映された。2月15日のイオンシネマシアタス調布での上映では、金子修介監督と劇中で宇宙怪獣レギオン撃退のキーパーソンとなるエンジニア帯津役を演じた俳優・吹越満氏が登壇して、特別トークイベントが開催された。

そもそもガメラ2企画は、昭和ガメラシリーズから宇宙怪獣「ギロン」(『ガメラ対大悪獣ギロン』(1969)に登場した敵怪獣)の再登場も当初考えられていたという。
「でも、伊藤さんが新怪獣でいきましょうと。そのとき『宇宙怪獣は外骨格であるべきだ』って樋口さんがアイディアを出しました。物語の構想は、ほぼなにもなく、宇宙怪獣が登場するぐらいのことが決まっていたスタートでした。すると樋口さんが『雪の中に立ってるガメラが見えます』とかいいだして(笑)、そこから爆発して、映画の中の3倍くらいのアイディアがワーっと出てきて、それのどこを押さえるかって感じでしたね」(金子監督)

キャスティング面では、メインキャストとして配役された吹越氏は、当時「30才ちょっと行ったぐらい」で、映画出演作もまだ4本ほどだったという。吹越氏がキャスティングされた理由は「俳優として、がっつり芝居するタイプじゃない、普通な感じでおもしろい人を求めていたんです。そのころ、ちょっとテレビ番組で「ロボコップ演芸」を見せていただきまして……」と金子監督。俳優の吹越氏は当時バラエティ番組でも活躍していたパフォーマーでもあった。
「そんな輩を起用していただいたんです。作品を観るとわかると思うんですが、帯津は、非常に重要な役じゃないですか。ガメラもがんばってましたけど、本当は帯津が地球を救った人なんです(笑)」(吹越氏)
この吹越氏の発言に、イベント参加者も納得し、場内は拍手と笑いにつつまれた。
「ジジイっていっちゃってすいません」

一方、撮影現場では、脚本の面白さを外さないようにしないといけないと思ったという吹越氏。演技面では「意外にアドリブを出していないんですよね」というが……。
「送信所の電波発信設備を最大出力で稼働させようとする帯津が、職員役のラサール石井さんに阻止されてもめるシーンで『止めるな、ジジイ!』って叫ぶんですが、あそこはアドリブです。撮影が終わってから『ラサールさん、そんなにジジイじゃないのにジジイっていっちゃってすいませんでした』と謝ったのを覚えてますね(笑)」(吹越氏)

そんな吹越さんが、撮影でもっとも印象に残っているのはメインキャスト陣の演技でも、特撮パートでもないという。
「映画の最後の方で、自衛隊の皆さんに協力してもらって登場していただいたシーンがあるんですが、助監督さんが『次、本番行きますんで、みなさんのいつもの任務のように緊張してお願いします!』っていうんですが、自衛官のみなさんは、あまり態度が変わらないんですよ。助監督さんが、ちょっとしびれを切らして『すいません、ヘルメットの紐が緩んでますんで、ちゃんと締めていただけますか』みたいにいったら、『任務では、いつもこんな感じですけど』って(笑)」(吹越氏)
それだけ自然体で肝が座っていないと、国を守る自衛官は務まらないということか。
はじめて作品を観る観客から、昨年の『ガメラ 大怪獣空中決戦』上映時のトークショーから連続で参加している熱烈なファンまで、満員となった会場は次々に飛び出す裏話に大満足の様子だった。

トークショーは、おふたりのこんな言葉で幕を閉じた。
「本日は、ありがとうございました。監督、またガメラシリーズ復活のときは呼んでください。また地球を救う役を演じさせていただいて、ぜひ帯津を、地球を2度救った男にしていただきたいですね。会場の皆さんの反応が、監督を動かすことになるわけですから、今後ともよろしくお願いします」(吹越氏)
「そういう日が来ることを、日々祈りつつ、ガメラに想いを馳せつつ、皆さんと一緒に愛し続けたいと思います。今日はありがとうございました」(金子監督)
イベントは、ガメラ復活を祈るファンの大きな拍手で満たされ閉会となったが、その後劇場ロビーでは、監督との即席撮影会が続行され、初作から30年以上を経た「平成ガメラ」の不滅の人気を証明する形となった。
TEXT:幕田けいた
映画のまち調布 シネマフェスティバル2025
【概略】
映画・映像を楽しむ機会の創出と、調布市に根ざした文化芸術の振興や地域活性を目ざすとともに、「映画のまち調布」の推進を目的として開催される映画祭。 市内に集積している映画・映像関連企業、団体(株式会社角川大映スタジオ、日活調布撮影所、株式会社ジャンゴフィルム、高津装飾美術株式会社ほか)と連携し、映画のつくり手にスポットを当てている。
【開催概要】
開催期間:2025年2月7日(金)~3月2日(日)
会場:調布市文化会館 たづくり、調布市 グリーンホール、イオンシネマ シアタス調布ほか
主催:調布市文化・コミュニティ振興財団 / 調布市