プラネタリウムでしか体験できない360度コナンの世界!
プラネタリウム版『名探偵コナン 閃光の宇宙船(ペイロード)』制作秘話
アニメ業界を目指した一番の理由は『名探偵コナン』
――髙木監督は以前、ご自身のXで「『名探偵コナン』のコンテを担当するのが業界に入ったときの一つの目標」と書かれていました。改めて『名探偵コナン』への思いを聞かせてください。

髙木 子どものころからずっと見ている作品で、もはや生活の一部になっています。僕が小学生のころ、大阪では夏休みに毎朝テレビで再放送をやっていた。毎日学校のプールに行っては、帰って『名探偵コナン』を見るのが日課でした。友達とも、その内容についてよく話していたので、一種のコミュニケーションツールでもありました。もちろん、ほかにも好きなアニメ作品はありますが、『名探偵コナン』は特別です。これだけ長く続いているアニメ作品も貴重ですし、この業界を志した一番大きな要因ですね。
だから今、こうやってアニメを作らせてもらえて、本当にやりがいを感じています。学生時代に『名探偵コナン』のテレビアニメを見ているうちに「自分だったらこう作りたいな」という思いがどんどんふくらんで、作り手の道へ進み、いまに至っているので「いいものを作らないと!」という、使命感があります。
――最初に『名探偵コナン』に参加したときのことは覚えてらっしゃいますか?
髙木 僕はアニメーター出身なので、1枚の絵を描くところからのスタートだったんですが、めちゃくちゃ緊張したのを覚えていますね。「自分が描いた絵が、あの『名探偵コナン』で流れるんだ……!」と。最初のころは、イメージしたようにはうまく描けなくて、悩むことも多かったです。
――とくにやりがいを感じるのは、どんなときでしょう?

髙木 絵コンテを描いたときに「これはめちゃくちゃいいんじゃないか」と感じるような、映像的な気持ちよさがうまく表現できて、それが実際に映像になったときが一番楽しいですね。僕が担当した話数は、派手なアクションシーンなどが印象的だといわれますし、そういうカットも好きなんですが、落ち着いたシーンがうまくつながったり、ゆったりした間(ま)がいい感じに表現できたりするのも、個人的にはうれしいです。
――原作にないアニメオリジナルエピソードを手がけるときに、意識されることはありますか?
髙木 絵コンテを描くときに、キャラのしゃべり方はすごく気をつけています。セリフの細かい部分は、声優さんが演じるときに変わることもあるんですが。
ミステリー要素については、シナリオを読んでもう少し味つけをしたほうがいいんじゃないかと思ったところは足したり、直すこともあります。『名探偵コナン』の影響でミステリー小説も読むようになったので、そこから得た知識を作品にフィードバックできたらなと。例えば、あんこにまみれて人が死ぬシーンがある『ケーキを愛する女のバラード』(テレビアニメ1028話)。あの話は、もともと使う予定だったアリバイトリックが成立しないと気づいたので「リアルタイムで直接殺害する方法にしたほうがいい」と監督に提案した結果、ああなったんです。絵のインパクトがすごいんですが、別にギャグ要素を強調したかったわけではなくて(笑)。ミステリーとして成立させようとしたんです。
――ミステリーというジャンル自体もお好きなんですね。『名探偵コナン』以外に、お好きなものや影響を受けた作品について教えてください。

髙木 実写もアニメも好きですが、幅広く見るというより、好きなものばかりくり返し見るタイプですね。実写では、黒沢清監督がとくに好きで、仕事をしながらずっと監督の作品ばかりを流していた時期がありました。アニメだと『ドラゴンボール』や『金田一少年の事件簿』をやられていた西尾(大介)さんの演出が好きで、あの独特の緩急を、自分でも出せたらいいなと思っています。
――今後もテレビシリーズを中心に『名探偵コナン』に関わられると思いますが、最後に意気込みをいただけますか。
髙木 現状、テレビシリーズには山本(泰一郎)監督と鎌仲(史陽)監督という二大監督がいらっしゃるので、その脇を固めてしっかりお手伝いをしつつ、負けないように自分の担当話数を作っていきたいと思っています。
髙木 啓明(たかぎ ひろあき)
1990年生まれ、大阪府出身。
大阪芸術大学卒。スタジオワンパック出身。
『名探偵コナン』TVシリーズではコンテ・演出を担当し、本作にて監督を手掛ける。TVシリーズ第1155話「追跡!探偵タクシー2」、第1188話「追跡!探偵タクシー3」は必見。
VECTOR youtubeでも動画版インタビューを公開中!
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