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映画『七人の侍』【新4Kリマスター版】3週間限定公開始まる!

日本が誇る超傑作アクション映画『七人の侍』の上映が始まった。本作は、1954年に初上映され、全世界から喝采を浴びた黒澤明監督による超傑作。世界の傑作映画を映画館という最高の環境で上映する「午前十時の映画祭」の1本として、10月17日から11月6日まで3週間限定で上映される。

五郎兵衛、いいね!

ストーリーの概略はこのような感じだ。

時は戦国時代。野武士(野盗)に襲われる危機が迫った村が、自衛のために侍を雇おうとする。だが協力する侍は見つからない。途方に暮れた農民たちだったが、目の前で鮮やかに盗賊退治を実行した熟練の侍・勘兵衛(志村喬)に一縷の望みを賭ける。窮乏を知った勘兵衛は、協力することを決意。ともに戦う、腕のよい侍探しが始まる。
そして――。勘兵衛を中心に七人の侍が集結、野武士との決戦が幕を開ける!

今回上映される【新4Kリマスター版】を、公開前の関係者試写で、2回鑑賞した。
そこで感じたのは「五郎兵衛、いいね!」という感想だ。

片山五郎兵衛は、「笑顔の人」である

『七人の侍』を、これまで何度見たかわからない。
名画座、リバイバル、LD、DVD、「午前十時の映画祭」、BD、4KUHD、試写。
おそらく20回は下るまい。しかし、今回ようやく片山五郎兵衛(稲葉義男)の魅力が沁みた。

五郎兵衛は、笑顔の人である。
登場して、はじめて声を発するのが「はははは! 御冗談を!」と高笑いする場面だ。
勘兵衛が侍の腕を試すために仕掛けたことを、事前に見抜いて笑うのである。
事情を知って参加を決した時も「おぬし(勘兵衛)の人柄に惹かれてついていく」といって笑う。
4人目の侍、平八(千秋実)を見出した時も笑顔だ。楽しそうに薪割りをする平八を見つめて「ひどく楽しそうだで」と笑う。そういう五郎兵衛のほうが楽しそうだ。

五郎兵衛は、「明るさ」の価値を知る人である。
平八を勘兵衛に推挙する時、五郎兵衛はこう説明する。

「腕はまず、中の下。しかし正直な面白い男でな。話していると気が開ける。苦しいときには重宝だと思うが」。

「苦しいときには重宝」--この言葉こそ、五郎兵衛のすごさを物語っていたのだった。
五郎兵衛は戦(いくさ)を知っている。
戦になれば、どういう状況に陥るかを知っている。
だから、チームがパフォーマンスを発揮するために、どんなキャラクターが必要かを知っている。
これからの戦いが、決して楽ではなく、苦しいものになることを五郎兵衛は知っている。
そのなかにあって「笑顔でいられる人間がいること」が、どれほど力になるか、ということを知っている。
「明るい人」というのがもたらす価値を知っている。
だから五郎兵衛は、明るく笑顔の人なのだ。
笑顔を作れる平八をスカウトしたのだ。

今回ようやく「笑顔の価値を知る人」五郎兵衛の深い魅力にたどり着けた。

キャラの魅力にハマってほしい

「古い日本映画は、役者の顔を知らないのでキャラクターの区別がつかず物語に入りにくい」という若い女性の声を耳にした。思いもよらなかったが、確かにそう感じるのも無理もない。
しかし、今回の【新4Kリマスター版】は、画面も音も相当クリアで見やすい。顔立ちもはっきりわかる。
そして『七人の侍』の登場人物は、いずれも印象が強いキャラクターだ。

まずは、主人公たる「七人の侍」たち。
経験と技に裏打ちされた決断力に優れたリーダー・島田勘兵衛(志村喬)。
ワイルドでエネルギーにあふれた菊千代(三船敏郎)。
勘兵衛を慕う、未熟な若侍・岡本勝四郎(木村功)。
無口で圧倒的な剣の達人・久蔵(宮口精二)。
勘兵衛の古くからの戦仲間で槍の達人・七郎次(加東大介)。
どこかとぼけた飄々としたムードメーカー・林田平八(千秋実)。
そして、笑顔の知略家・片山五郎兵衛。
このほかにも、侍を雇えとうながす村の長老・儀作(高堂国典)や、事情を抱えた農民たち、農民に冷たい皮肉をいいつつも勘兵衛の説得を手伝う人足(多々良純)・・・。

個性的で人間味のあるキャラクターが数多く登場する。
きっと「推し」となるキャラクターが見つかるはずだ。

見れば見るほど、キャラクターの魅力に惹かれる。
見れば見るほど、新しい発見がある。
これだから、「名作」と呼ばれる映画は侮れない。

このとびっきりの傑作映画を、劇場の大スクリーンと良好な音響環境で体感できる、またとないチャンスに、ぜひ鑑賞をおすすめしたい。

 

TEXT:ヤマモトカズヒロ

七人の侍 【新4Kリマスター版】

【作品概要】
1954年/日本/モノクロ/207分
監督:黒澤明
脚本: 黒澤明・橋本忍・小国英雄
出演:志村喬、稲葉義男、加東大介、千秋実、宮口精二、木村功、三船敏郎
上映期間:10月17日(金)~11月6日(木)
特設サイト:https://7samurai.asa10eiga.jp/

午前十時の映画祭15 デジタルで甦る永遠の名作

【実施概要】
開催期間:2025年4月4日(金)~2026年3月26日(木)
上映期間:2週間上映
※『七人の侍』のみ3週間上映。
開催劇場:全国66か所の映画館・シネマコンプレックス
上映作品:全25本(外国映画作品/22本、日本映画作品/3本)
※鑑賞料金、開映時間は劇場によって異なります。

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