「さよなら 丸の内 TOEI」 映画『新幹線大爆破』上映&樋口真嗣×笠井信輔トークショー開催!
惜しまれつつ閉館する東京・銀座の映画館「丸の内 TOEI」。「さよなら 丸の内 TOEI」プロジェクトの一環として、7月5日、映画『新幹線大爆破』(監督:佐藤純彌、1975年)の公開50周年記念日特別上映とトークショーが開催された。その模様をレポートする。


1960年、東映本社の東映会館の落成とともに「丸の内東映」と洋画封切館「丸の内東映パラス」が開館(現在の丸の内TOEI)。65年もの歴史を誇る建物は、老朽化を理由に再開発が決定している。「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトでは、閉館日の7月27日まで、数々の名作映画の特集上映と各種イベントが実施中だ。

トークショーには、本作をリブートしたNetflix映画『新幹線大爆破』の監督・樋口真嗣氏と、MCとしてフリーアナウンサーの笠井信輔氏が登壇。くしくも1975年7月5日の公開初日からジャスト50年という日に、オリジナル版『新幹線大爆破』を語りつくした。

「夢の超特急が爆破される」という刺激的なタイトルにより、親に連れていってもらえなかった当時小学4年生だった樋口氏。オリジナル版公開の初日、誰よりも早く爆破が見たいと、学校をさぼって映画館にひとりで行ったという。
「切符のもぎりの人から見えないように、ランドセルを隠しながら映画館に入りました。でも、やっぱり悪いことしてるっていう、後ろめたい気持ちが強い。それで映画を見たら、高倉健さんや山本圭さんが悪いことして、みんな死んでいく。ヤバい、俺も人の道を踏み外してる! と身につまされました(笑)」(樋口氏)
現在、世界中でヒット中のNetflix版『新幹線大爆破』についても――。
「自分の好きな映画をリブートしたのは、オリジナル版『新幹線大爆破』を見てほしいという思いが一番。オリジナル版を観ていただいた上でNetflix版を観ていただけると、もっと楽しんでいただけると思います」(樋口氏)

笠井氏からの「特撮は樋口さんのお家芸ですが、オリジナル版の特撮では、どんなところに注目しましたか」という質問には、「ミニチュアです。オリジナル版の新幹線は『ウルトラマン』などの特撮映画のミニチュアを作っている郡司模型製作所が手がけているんですが、これが大きい模型で精密にできている。車体の曲面などがすごくよいんです。ただ残念なのは、ヘッドライトの中にランプが縦にふたつ入っていないといけないんですけど、それがひとつしかないことですかね」(樋口氏)と、鉄道マニアならではの着目点を披露し、会場を沸かせていた。
また国鉄(当時)の撮影協力が得られず、ロケ撮影できなかったシーンについても
「浜松駅前のシーンでは、ホームは1/2のミニチュアセットを作っています。そのまわりに、実景の写真を切り抜いてはったパネルを並べている。これがとても効果的。この特撮技術は、ウルトラマンや怪獣のデザインをされた成田亨さんが手掛けていらっしゃるですが、成田さんは昭和30年代の東映でも特撮をやっている。『ウルトラセブン』の後、戻った東映で『新幹線大爆破』など、さまざまな作品を手掛けました」(樋口氏)と特撮の見どころのひとつを解説してくれた。
トークショーの最後、樋口氏は「映画館は記憶をつくりだす場所」だと語った。「観客のみなさんは、これからもいろんな映画館に行くでしょう。新しい映画館もいっぱい出てくると思うんですけど、丸の内TOEIには、ほかの劇場にはない味わいがあります。僕も何度も、ここに映画を観にきて、まあ時々「はあ?」という作品もありましたが(笑)、それも含めて、丸の内TOEIで観られた楽しみがありました。映画館自体にも、階段とか狭いのに、なんでこんなに豪華な作りにしてるんだろうとか、いろいろ考えた思い出があります(笑)。幕を閉じてしまうのは残念ですが、今日は楽しい思い出を持ち帰って、いつまでも記憶のなかで、この映画館を可愛がっていただけたらと思います。私もみなさんと気持ちは一緒です」と観客に語りかけ、万雷の拍手のなか、イベントは幕を閉じた。

TEXT:幕田けいた




