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70年以上に及ぶ創作活動を振り返る「松本零士展 創作の旅路」開催!

『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』など、数々の名作を世に送り出した漫画家・松本零士。没後初となる大型展覧会「松本零士展 創作の旅路」が、六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューにて、2025年6月20日から9月7日まで開催されている。「銀河鉄道999」50周年プロジェクトと銘打たれた本展は、マンガとアニメ両分野にまたがる松本零士の創作活動を総覧し、原画を中心に初公開資料やゆかりの品々など300点以上を一挙に展示。松本零士の70年以上にわたる創作人生を、「旅」というモチーフに重ねてたどる構成となっている。

展望空間ならではの広がりが印象的な演出でスタート

展示の起点となるのは、展望空間ならではの広がりを活かしたエントランス演出。地上52階、海抜250メートルに位置する東京シティビューからは、東京タワーや東京湾、都心のビル群が一望でき、その空間に『銀河鉄道999』の銀河超特急999号が再現され、プラットホームに立つ来場者を迎える。名曲「銀河鉄道999(The Galaxy Express 999)」が静かに流れ、アニメ映像が大型スクリーンに映し出されるなか、まるで鉄郎とメーテルの旅立ちに居合わせたかのような没入体験が演出されている。また、会場限定の記念撮影サービス(1500円・オリジナルフォトホルダー付き)もあり、プロカメラマンによる撮影で“空へ飛び立っていく銀河鉄道”の雰囲気を写真に残せる。

創作の原点と進化の軌跡

松本零士が自作した5段マルチプレーンカメラ。ハレーション対策として、牧美也子(夫人)が墨汁で木枠を黒く塗ったという。

本展は3つのゾーンで構成され、それぞれの空間が松本零士の創作の軌跡を異なる角度から映し出す。第1の展示空間は「ZONE1:歩みを刻む_零士メーター」。
“零士メーター”とは、松本作品にたびたび登場する架空の計器だが、それになぞらえて時系列に沿って原画を展示。14歳で描いた習作『虫の世界探険記』(1952年)を本邦初公開し、漫画家としての第一歩を踏み出した初期の少女マンガや、『男おいどん』(1971年)に代表される少年マンガの分野にシフトした時期など、時間の推移とともに作家としての進化が視覚的に示されていく。
このZONEには、松本零士が本郷の下宿時代(1957〜1961年)に自作した5段マルチプレーンカメラも展示されている。マルチプレーンカメラとは、セルアニメの制作で使用された撮影用のカメラ。実際にはカラーイラストの制作に用いられたが、「いつかアニメを作りたい」という松本零士の思いが詰まった機材であり、のちにアニメ制作に本格的に参入する、その原点が垣間見える。

哲学と美学が息づく原画世界

続く「ZONE2:唯一無二の 創作宇宙」では、「宇宙」「女性」「メカ」という3つのキーワードで松本作品を掘り下げる。『銀河鉄道999』第1話の貴重な原画をはじめ、数々の重要な資料から、生と死、愛や孤独といった松本作品に込められたテーマがうかがえ、それらが作画とストーリーの両面で表現された様がわかる。
見どころのひとつは「戦場まんがシリーズ」の原画(『鉄の墓標』など)で、メカがフリーハンドで描かれたことが確認できる。力強くも精巧な筆致で描かれ「メカもキャラクターのひとつ」という松本零士の信念が見て取れる。また『宇宙海賊キャプテンハーロック』の原画では、見開きいっぱいに敷き詰められた“零士メーター”が堪能できる。大量に並ぶアナログ計器は、リアルタイム世代にとっては胸を躍らせたケレン味ある格好よさを思い起こさせ、若い世代にはスタイリッシュなレトロフューチャーの味わいを感じさせるだろう。

原画に宿る色彩と魂

最終ゾーン「ZONE3:Artist Leiji Matsumoto」では、貴重なカラー原画が多数公開されている。『男おいどん』『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道999』など、松本作品を彩ってきた印象的なシーンの原画が、水彩を中心とした繊細な筆致で描かれ、印刷物とは異なる生々しい色彩の息遣いを感じ取れる。
これだけの数のカラー原画が一堂に会する機会は極めて稀であり、松本零士の芸術的表現力を堪能できる貴重な場となっている。宇宙空間の深みや女性キャラクターの憂いを帯びたミステリアスな様は、原画ならではの魅力。見る者の心を強く揺さぶるはずだ。

この「松本零士展 創作の旅路」は、松本作品の入門者にとっては作家としての歩みと作品世界を体系的に理解できる場であり、ファンにとっては原画や資料によって“本物”の重みを再発見できる、またとない“旅路”。「銀河鉄道999」連載開始から50年という節目を飾るプロジェクト第1弾。松本零士というレジェンドが、なぜ時代を超えて支持されるのか。その理由を、ぜひとも体験してほしい。


 

  • 「松本零士展」公式ショップでは、「松本零士展」グッズを多数販売。本展でしか手に入れられない展覧会限定グッズも多い。
  • 機械化人ぎらいの大盗賊アンタレスに疑われ、メーテルがレントゲンにかけられたシーン(『銀河鉄道999』)をモチーフにしたアクリルスタンドも公式ショップで販売中。
  • 『松本零士展 創作の旅路 公式図録』。本展の展示原画を収録した資料性の高い図録。ちばてつや、新谷かおる、りんたろうなどのインタビューも収録されている。
  • 展覧会会場に隣接するレストラン「THE SUN & THE MOON」には、『銀河鉄道999』に登場するメニューからインスパイアされたオリジナルメニューを用意。松本作品におなじみのビフテキも!

 

TEXT:加山竜司

【「銀河鉄道999」50周年プロジェクト 松本零士展 創作の旅路】

会場:東京シティビュー
開催期間:2025年6月20日(金)~ 9月7日(日)
開館時間:10:00〜21:00(最終入館20:00)
休館日:会期中無休
入館料:事前予約制(日時指定券)公式サイトを確認

公式サイト:https://leiji-m-exh.jp/

©松本零士/零時社

【東京シティビュー】

所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
展望台営業時間:10:00〜22:00(最終入館21:30)
公式サイト:https://tcv.roppongihills.com/

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