片渕須直監督最新短編『ふくふくの地図』3月24日公開!
監督登壇の完成直前特別上映会で語られた想い
『この世界の片隅に』の片渕須直監督による最新短編アニメーション『ふくふくの地図』が、2026年3月24日に公開される。キャラクター原案にこうの史代、音楽にコトリンゴと『この世界の片隅に』のコアスタッフが再集結した本作は、福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」を広く知ってもらうために、福島県により製作された作品だ。
震災から15年、再び福島の土地と人に向き合った片渕監督は、そこに何を見たのか。
3月5日に開催された「完成直前特別上映会」のレポートと共に紹介する 。

福島が愛しくなる珠玉の短編アニメーション
『この世界の片隅に』の片渕須直監督による最新短編アニメーションが2026年3月24日(火)に公開される。ふくしままっぷブランドムービー第2弾の『ふくふくの地図』という作品だ。
物語は、フランス人女性の哲学者・ソフィが福島の地を訪れるところから始まる。
ふと手にすることになった「ふくしままっぷ」に描かれた福島のあちこちを、彼女は訪ね歩く。
昔から残る風景、あかべこなどの民族工芸品、風雪を耐えた建築物、土地土地に根差した食……。
ソフィは福島のそこかしこにあるものの中に、確かに息づく「文化」を感じ取っていく――。
本作は、福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」の存在を広めるため、福島県により製作されたショートムービーだ。

本編中のシーン(左)と、ロケ取材の際に撮影された実際の風景(右)
制作スタッフには、監督・脚本を務めた片渕須直に加え、監督補に浦谷千恵、キャラクター原案はこうの史代、そして音楽がコトリンゴと、『この世界の片隅に』のコアスタッフが再び集結した。
そして、片渕監督、浦谷監督補らは2025年秋に3日間の福島県内ロケを敢行。「ふくしままっぷ」に描かれた主要スポットを車で巡り、資料を収集しながら、それぞれの土地や事物の中に息づいている「文化」を、「文化」を紡いできた「人」の存在を感じ取っていったという。
『花は咲く』とつながる世界
片渕監督による短編作品と言えば、2013年3月に発表された『アニメ 花は咲く』が思い浮かぶ。東日本大震災からの復興を願うキャンペーンソング「花は咲く」のアニメ作品版だ。
本作『ふくふくの地図』を観ると、『花は咲く』とのつながりを強く感じるだろう。
ともに、漫画家・こうの史代さんがキャラクター原案を務めており、人物のルックが共通した部分もあり第一印象から「近い」と感じる。
片渕監督は「『花は咲く』では、地震も、津波も、壊れた建物も描かずに、ただひたすらそこに生きた人の暮らしを描いた」と語った。

本編中のシーン(左)と、ロケ取材の際に撮影された実際の風景(右)
一方で、本作『ふくふくの地図』では、「登場人物をできるだけ減らしたかった」と語っている。人そのものではなく、福島にずっと息づいている「文化」を描く。それにより画面には登場しないが、その「文化」を作り、つないできた数十年、数百年に及ぶ人々の存在を「思いを巡らす」ことにいざなっていく。

本編中のシーン(左)と、ロケ取材の際に撮影された実際の風景(右)
2013年3月、東日本大震災、福島第一原発事故から2年。『アニメ 花は咲く』では、その時にはそこになく、かつてあったはずの人々の生活、あるいは、やがて取り戻すはずの生活を描く。
2026年3月、震災・原発事故から15年。『ふくふくの地図』では、大きな災禍を潜り抜け、長い時を生きる「文化」を描くことで、長いときの中でその「文化」に携わった人の存在を感じさせる。
2つの作品は、福島と人をめぐる表裏一体の作品のように感じられる。
「福島の復興も、まだ途上である」
3月5日(木)『ふくふくの地図』の完成直前特別上映会が、福島県福島市曽根田町の映画館・フォーラム福島で開催された。

本作は当初3月5日公開予定であり、イベントも「完成発表イベント」を予定していたが、より完成度を高めるため公開日を3月24日に変更し、イベントも「完成直前特別上映会」となった。
この日、上映された「特別版」は完成作品ではない。前半約3分の2は完成版ではあったが、その後、「つづく」とテロップが入った後は、「絵コンテ撮動画」(映像の設計図である絵コンテを、カメラワークを付けて撮影した動画のこと)に音(セリフ、効果音、音楽)がついた状態での上映であった。おそらくは2度と見ることのできない形での上映であったが、作品の魅力は存分に味わえた。

上映の前後には関係者によるトークが行われた。福島県知事の内堀雅雄(うちぼり・まさお)氏、本作の企画・監修を務めた福島県クリエイティブディレクターの箭内道彦(やない・みちひこ)氏、「ふくしままっぷ」を制作したアートディレクターの寄藤文平(よりふじ・ぶんぺい)氏と片渕須直監督の4人が登壇し、本作制作の背景と、作品への思いを語った。

片渕監督はロケの印象をこう語った。「3日間のロケができたのは秋。依頼してくださった方々に、ここは見てくださいね、と言われた三春滝桜も当然咲いてないわけです。どこに行っても何も咲いてない。でも、だからこそ、咲いた姿に『思いを巡らす』ことができました。その『思いを巡らす』ことこそが素晴らしいのだと感じることができました。」
「ふくしままっぷ」を制作した寄藤氏は、作中で主人公・ソフィが「赤べこ」に向かって「おマエも文化か?」と問うシーンに感銘を受けたという。「自分が言われたような気がしました。私は福島県出身ではないのですが、自分も福島の『文化』に参加できてと認めてもらったようでとても嬉しかった。」

企画・監修の箭内氏は、福島県クリエイティブディレクターとして、日ごろから福島への人の流れの創出を考えているからだろうか、「連れていく」という言葉を使ってコメントした。「今日のイベントには大阪から来てくださった方もいます。片渕監督が、こうして全国各地から福島まで人を連れてきてくれた。それだけで胸が熱くなります。」また、作品に関しても「片渕監督の世界に、福島を連れていってもらえたような印象を受けた」と語った。
そして、トークの司会進行役も務めた内堀福島県知事は、最後にこう締めくくった。
「福島はまだ復興の途上です。復興は完成していない。今日の上映作品の絵コンテ部分が、やがて映像として完成するように、私たちも復興を完成させなくてはいけない」
TEXT:ヤマモトカズヒロ
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【ふくふくの地図 作品情報】
■公開日:2026年3月24日(火)
■企画・監修:箭内道彦(福島県クリエイティブディレクター)
■監督・脚本:片渕須直
■監督補:浦谷千恵
■キャラクター原案:こうの史代
■キャラクターデザイン・作画監督:瀬口泉
■作画監督補:大田真由/丸田萌依
■美術監督:太田清美
■音楽:コトリンゴ
■アニメーション制作:CONTRAIL
■制作・著作:福島県
■『ふくふくの地図』特設サイト:
https://fukushimamap.jp/special-2/
【福島県総合情報誌「ふくしままっぷ」について】
写真を一切使用せず、大人から子どもまで親しみやすい、手描きのイラストと文字だけで構成された折りたたみ式の総合情報誌。
200を超える名所、伝統行事、特産品、海、川、山、湖から、人々の活動や声まで、福島の魅力をひとつひとつ手描きで絵に描いてこれでもかと一枚に詰め込んでいます。
2016年の発行から、累計発行部数は50万部を突破しました。
■監修:箭内道彦(福島県クリエイティブディレクター)
■デザイン:寄藤文平(アートディレクター)
■「ふくしままっぷ友の会」
ふくしままっぷの魅力をより多くの皆さまにお届けし、誌面からそれぞれの好きを見つけ、分かち合い、広げていくための取組として、2024年12月に「ふくしままっぷ友の会」を発足。 特設サイトからお申し込みいただいた方には、ふくしままっぷに加えて、ノベルティやPRツールを無料でお届けしています。 Instagramアカウントも立ち上げ、ふくしままっぷの魅力を発信中です。
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