若き円谷英二撮影の幻の映画がイギリスから帰還!【国立映画アーカイブ】映画『かぐや姫』の発見と上映会開催のお知らせ

『かぐや姫』(1935年、J.O.スタヂオ、田中喜次監督、円谷英二撮影) 国立映画アーカイブ所蔵
イギリスで発見された、J.O.スタヂオ製作による音楽映画『かぐや姫』(国内公開1935年、監督:田中喜次、撮影:円谷英二)の海外向け短縮版(1936年作成)が、85年の時を経て日本へ里帰りを果たした。
長らく失われていた『かぐや姫』は、「ゴジラ」「ウルトラマン」シリーズを生み出した、今年生誕120年を迎える“特撮の父”円谷英二が撮影を手がけた初期作品だ。
1936年にロンドン日本協会(ジャパン・ソサエティ)が英国人や現地邦人向けの上映会を企画し、在英日本大使館に「日本の可憐な伝説、童話を題材にした映画がほしい」と依頼。
同大使館から相談を受けた外務省が、外郭団体の国際映画協会に作品選定を委嘱し、『かぐや姫』が輸出フィルムとして確定。国際映画協会の監修により、冒頭に英語字幕による解説を付した短縮版が作成され、日本からイギリスへフィルムが渡った。
そして2015年5月。ロンドン在住の映画史研究家ロジャー・メイシー(Roger Macy)氏から、英国映画協会(British Film Institute、BFI)に本作の可燃性ポジフィルムが現存しているという情報が寄せられる。
2015年10月に国立映画アーカイブ研究員がBFIの保存センターで現物調査を実施。その結果、当時日本映画を通じて文化振興を行っていた国際映画協会の監修により、1936年11月に作成された『かぐや姫』[短縮版]であることが明らかになった。
その後、およそ6年にわたるBFIとの収集交渉を経て、ついに『かぐや姫』[短縮版]を不燃化したフィルムの里帰りが実現。国立映画アーカイブが所蔵することとなった。
国立映画アーカイブは、9月4日(土)と5日(日)に、本作の上映会の実施を発表した。
『かぐや姫』作品概要
製作・配給:J.O.スタヂオ
オリジナル版日本公開:1935年11月11日(京都宝塚劇場)、11月21日(日本劇場)
オリジナル版上映時間:75分(9巻、2051m)
[短縮版]:国際映画協会の監修により1936年作成、上映時間:33分(3巻、908m)
※冒頭の英語字幕による解説には新たに日本語字幕を付する
〈スタッフ〉
脚色:J.O.企画部
監督:田中喜次
撮影:円谷英二
考証並美術監督:松岡映丘
作曲並音楽監督:宮城道雄
台詞並演技監督:青柳信夫
主題歌作詞:西條八十
ミニチュア制作・撮影:政岡憲三
アニメーション用の牛及び牛飼い人形(石膏像)制作:浅野孟府
〈出演〉
北澤かず子(かぐや姫)
藤山一郎(造麿)
徳山璉(太麿)
汐見洋(竹取翁)
東日出子(竹取嫗)
横尾泥海男(宰相阿部)
藤輪欣司(細身)
下田猛(陰陽師)
上田吉二郎(造麿の従者)
『かぐや姫』上映会概要
日時:2021年9月4日(土)、5日(日)会場:国立映画アーカイブ小ホール(地下1階)
※詳細は決まり次第、国立映画アーカイブHPで告知
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/tsuburaya120/#section1-4
また、国立映画アーカイブでは、2021 年 8 月 17 日(火)から展覧会「生誕 120 年 円谷英二展」を開催予定。詳細は公式HPにて確認できる
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/tsuburaya120/