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笑福亭鶴瓶、初の生配信番組『無学 鶴の間』に宮藤官九郎が登場!イベントレポートを公開!

動画配信サービス「U-NEXT」は、2023年9月6日に配信した笑福亭鶴瓶による生配信番組『無学 鶴の間』第16回のイベントレポートを公開した。
ゲストには、脚本家、映画監督、ミュージシャン、俳優などマルチに活躍する宮藤官九郎が来場。本イベントと並行して定期的に行われているトークライブ『無学の会』に続き、その配信版となる今回の『無学 鶴の間』にもゲスト参加を果たした。

現在、ラジオ番組の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」を担当しているという宮藤。「これが人の愚痴をとにかく聞くだけ、というラジオで。例えば居酒屋の店員さんの愚痴だったら、飲み物が決まってないのに呼ぶのってどうなの、という感じで、“宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど”ということを聞くんですけど、それに対しても“大変ですね”というだけで何も解決しないようなラジオなんですよ」と解説すると、その内容にドッと沸いた会場内。

その流れで話題はコンプライアンスの方向に。宮藤が語る「今、演劇の世界では“ダメ出し”って言っちゃダメなんですよ。ダメって言葉を(人に)言っちゃダメということみたいで」という話に、驚いた様子の鶴瓶。さらに「今、ドラマの脚本を書いているんですけど、『今日泊めて。大丈夫、何もしないから』というようなセリフを書いたら、法律的に、何もしないと言っているのに何かをしてしまった場合に、罪になってしまうからやめた方がいいと言うんですよ」という宮藤に、「それじゃドラマできないでしょ」と鶴瓶。宮藤も「そうなんですよ。現実がそうなってきたんで、恋愛ドラマとかも難しくなっていますよね」と返すなど、時代の変化を敏感に感じ取っている様子。

そこから厳しかったという鶴瓶の師匠・六代目笑福亭松鶴の話に。「俺、一回も(師匠から落語の)けいこをつけてもらったことないんですよ」という鶴瓶の告白に会場もビックリ。その理由としては「あいつはほっといたらいい。あいつにはあいつの世界があるから」という師匠の思いがあったというが、若き日の鶴瓶にはその思いを理解するには及ばなかったという。「その時は落ち込んだよ」と前置きしつつも、「でもけいこで、おやっさんからこうしろと言われると、そこから離れられずに、変えることができないようになるかもしれない。でも俺は教えてもらってないから、落語のテープとかを聞いて覚えて。そこから変えるというのが俺のスタイルになった」と振り返った鶴瓶。

そんな時に師匠から、入門1年目、2年目の若手を対象としたテレビ局主催の落語大会に出場するよう言いつけられたことがあった。「俺はけいこをつけてもらってないのに」と思いながらも、師匠の言いつけということで、しぶしぶ参加することにした鶴瓶は、それまで自己流にアレンジして、友人たちに披露していた古典落語の「いらちの愛宕詣り」を披露することに。その破天荒なネタは観客にはウケたというが、審査員からは「時代錯誤もはなはだしい」と酷評。しまいには審査委員長として参加していた、当の松鶴師匠からも「こいつのは落語やおまへん。だいいちわし、(鶴瓶にけいこは)つけてまへんから」と言われる始末。当然のことながら落選したという鶴瓶だが、帰りの車の前で師匠が鶴瓶をポンとたたき、「お前がいちばんおもろかったわ」。それが松鶴流の鶴瓶の育て方だと知り、「泣きましたよね」と振り返った鶴瓶。それを聞いた宮藤も「ドラマにしたくなりますね」としみじみ聞き入っていた。

そして深くうなずきながら「それは役者もそうですよね」と語る宮藤は、「言って良くなる人もいるけど、俺なんかも(宮藤が所属する劇団、大人計画主宰の)松尾スズキさんからは何も言われない。なんで演出してくれないんだろうなと思うけど、なんとなくできているから、言ってもしょうがないんですかね」とコメント。

だがそれは、宮藤自身が自分で演出をやるときに、そういうことをしていると感じるそうで、「ちゃんと言った方がいいタイプの人もいるし、そうではない人もいる。長瀬(智也)くんとかはすごいから、何も言うことがないんですよ。だから長瀬くんが飽きないうちに撮影をはじめたいと思って、別の人に演出をつけたりする。その(別の)人は言った分だけ良くなるタイプだから、というのはありますね」とかみ締めるようにコメント。「役者って演出されないと不安になって。俺はダメなんじゃないか、監督から気に入られてないんじゃないかと思いがちで。みんなちょっとMなんじゃないかと思うんですよね。言ってほしいんですよ」と役者ならではの思いを付け加える。

巨匠・山田洋次監督も鶴瓶には何も言わなかったという。だが、あまりにも何も言われなかったために、食事休憩の時間に「すいません。ちょいと何か言うてくださいよ」と話しかけたというが、山田監督からは「何もないよ」という返事だった。そしてそれは宮藤が主人公の友人役で出演した山田監督の最新作『こんにちは、母さん』の時もそうだったそうで、宮藤も「僕も何も言われなかったですね」と述懐。「その代わり、現場でこのセリフを言ってといわれたんで、そのセリフを言ったら奥から笑い声が聞こえるんですよ。ダメだ、NGだと思ったら、その笑い声の主は監督なんですよね」とコメントし、会場は大笑い。現場ではよく笑うという山田監督のエピソードの流れから、90代にしてなおエネルギッシュな山田監督の話に花を咲かせるふたり。その口ぶりからも、山田監督のパワーに圧倒された様子がうかがい知れた。

また、鶴瓶は以前、宮藤が手掛けた歌舞伎演目「唐茄子屋 不思議国之若旦那」に登場する「生きるというのはみっともないことなんだ」というセリフに感銘を受けたことがあったという。「ちょうど俺も『死神』という落語をやってた時で。これはいいと思った。生きることはみっともないことなんだ。みっともないことを世間に認めてもらうためにって…本当にそうだよね」としみじみと語る鶴瓶に、「(中村)七之助くんがやっていたおかみさんが首をくくろうとしていたんですけど、一命を取り留めた時に、(中村)勘九郎くんが言うんです。あんたそんな首をくくるなんてみっともないことをしたんだから、この先はみっともないことを認めてもらうために生きていかないといけないんだというセリフだったんですが、自分で言っててもいいセリフだなと思いますね。たぶん(執筆時に)落語ばっかり聞いてたから、そんなセリフが出てきたのかもしれないですね」

そして宮藤と話してみて「日常ではいろんな面白いことがある。それって面白いよね」としみじみ語る鶴瓶。そこで「この間、自分が思いつかなくて悔しいなと思ったことがあって」と切り出した宮藤は、「僕、本名は“しゅんいちろう”というんですけど、ちょうどうちの娘が見ていたテレビにキャンドル・ジュンさんが出ていて。お父さんはシナリオライターだからシナリオ・シュンだねと。俺、シナリオ・シュンなのかと思って、いろんなところで使わせてもらってるんです」と笑顔。「ただこの間、娘のスマホをチラッと見たら、俺の登録名がシナリオ・シュンになってて。そこはお父さんでいいだろと思いましたけどね」と会場をドッと沸かせた。

『無学 鶴の間』第16回

出演:笑福亭鶴瓶、<ゲスト>宮藤官九郎
会場:帝塚山無学
見逃し配信:https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000002615
※配信開始から一定期間経過後、見放題作品へ切替えて配信を継続する予定
番組公式X(旧Twitter):
https://twitter.com/mugakutsurunoma

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