「でたらめ」な想像力と「べらぼう」なおもしろさ! 劇場用作品『大長編 タローマン 万博大爆発』が昭和100年に公開!
2022年7月からNHK教育テレビジョン(NHK Eテレ)で放映され、熱烈なファンを生んだ全10話のTVシリーズ『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』。その劇場用作品『大長編 タローマン 万博大爆発』(以下、大長編 タローマン)が公開された。シュールレアリスム星からやってきた巨人タローマンが、1970年に開催されていた万博を消滅させようと未来から現れた奇獣と対峙。万博を守るために、タローマンと地球防衛軍(CBG)は、奇獣がやってきた2025年の未来へと向かう——。時代を超えた痛快な岡本太郎的冒険活劇をレビューする。

昭和の日本をワクワクさせた1970年の世界観

『大長編 タローマン』では、TV版のコンセプトがスケールアップ。キャラクターが冒険するのは2025年だが、現実世界ではなく、1970年代に少年マンガ誌のグラビア特集などで描かれた「レトロな未来」が舞台だ。
空中を走る透明パイプのハイウェイを飛ぶように走るエアカー。幾何学的デザインのビルディング。色とりどりの奇抜なデザインのボディスーツを身にまとった未来人たち……。これらすべて、昭和の日本をワクワクさせた世界観だ。

制作サイドは「今回の映画ではテレビ版では語られなかった「岡本太郎が抱いた万博への想い」を、いまこそ伝えるべきテーマとして描きます。岡本太郎は「技術の進歩が社会を豊かにし、人を幸せにする」という1970年の万博メッセージにノーを突きつけ、モダニズムな雰囲気であふれる会場のど真ん中にベラボーな神像『太陽の塔』を突き立てました。 大長編タローマンもまた、ベラボーな「挑み」でありたいと考えています。」とのメッセージをつづっている。
岡本太郎の信念を受け継ぐモキュメンタリー作品

タローマンは「1970年代に放送された巨大ヒーロー物の特撮作品」という設定で、映像作家・クリエイティブディレクターの藤井亮によって制作されたモキュメンタリー映像作品。モキュメンタリーとは、フィクションをドキュメンタリーのように見せかけて演出する映画やテレビ番組のジャンルである。奇抜なコンセプトで注目されたTV版『TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇』は、第49回放送文化基金賞のエンターテインメント部門で優秀賞を受賞。藤井は脚本・演出賞を受賞した。
もともとは、NHK・NHKエンタープライズが主催した『展覧会 岡本太郎』大阪展(2022年)のプロモーション用の番組企画だったが、岡本太郎自身を描いたドキュメントやドラマには、すでに数々の名番組があったことから、岡本の作品をモチーフとすることに。岡本の「なんだこれは!」「でたらめをやってごらん」という信念のもとに特撮ドラマ風に作られたという。

1970年代の巨大ヒーローものというコンセプト通り、作風はどこかゆるく、そして懐かしいテイスト。そこかしこに1970年代のTV番組やマンガのモチーフが散りばめられている。
主人公「タローマン」は、もちろん『ウルトラマン』(1966)を始めとする巨大ヒーロー物の系譜にあるし、テンガロン・ハットの登場人物「風来坊」のモデルは、ムチを振るって怪獣と戦う国家警備機構のエージェント『アイアンキング』(1972)の主人公・静弦太郎か。タローマンと戦う奇獣は、岡本太郎のオブジェ作品やデザインをキャラクター化した怪物たち(名称は作品名と同じ)。それぞれ設定には「体長」「体重」「特徴」「生息地」など、懐かしの怪獣図鑑的スペックを備えている。
岡本太郎の万博への想いを大スクリーンで描く

作品のキーワードのひとつ「1970年の日本万国博覧会」も、1970年代の象徴ともいえる一大イベントであった。岡本が万博のテーマ展示プロデューサーに就任し、太陽の塔を作った1970年の万博には、日本の特撮界とSF文壇、マンガ業界の創造力が結集していた。たとえば、万博の理念を構築した、当時新進気鋭の知識人により発足した準備組織「万国博を考える会」にブレーンとしてかかわったSF作家・小松左京に始まり、地球誕生から未来の2020年までを特撮で描いた三菱未来館の立体映像ホリ・ミラー・スクリーンの館内映像は、円谷英二が特撮部分を監修(音楽は伊福部昭のオリジナル曲)、多数のロボットが展示されたフジパンロボット館のチーフプロデューサーはマンガ家の手塚治虫。太陽の塔内部に設置された高さは約41メートルものオブジェ「生命の樹」の施工を指揮したのは、ウルトラマンのデザインを担当した美術家・成田亨という豪華な布陣であった。万博は、まさにタローマンにピッタリのモチーフなのだ。

「昭和100年」というフレーズで語られる機会が多い2025年に『大長編 タローマン 万博大爆発』で、「でたらめ」な想像力で生まれた懐かしい未来を舞台にした、「べらぼう」におもしろい1970年代のキャラクターの冒険を味わってみてはいかがだろうか。
TEXT:幕田けいた

『大長編 タローマン 万博大爆発』
2025年8月22日(金)より 全国ロードショー
公式サイト:https://taroman-movie.asmik-ace.co.jp/
監督・脚本:藤井 亮
出演:タローマン 太陽の塔 地底の太陽 水差し男爵
解説:山口一郎(サカナクション)
企画・プロデュース:竹迫雄也
プロデューサー:加藤満喜 桝本孝浩 倉森京子 柳本喜久晴 佐野晴香
撮影:藤本雅也 照明:東岡允 美術:伊藤祐太 録音:辻元良
衣裳・ヘアメイク:浅井可菜 編集:奥本宏幸
VFX:安田勇真 妻谷颯真
ポスプロコーディネーター:のびしろラボ
音楽:林彰人
製作:『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会
制作プロダクション:NHKエデュケーショナル 豪勢スタジオ
配給:アスミック・エース
協力:公益財団法人岡本太郎記念現代芸術振興財団
©2025『大長編 タローマン 万博大爆発』製作委員会


