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『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』
亀山監督が明かす“説得力あるキャラクター描写”へのこだわり

「なぜ描くか」を考えたとき、社会とのつながりの重要性に気づいた

――監督がこれまでに影響を受けた映像作品について教えてください。

亀山  小さいころから日本で育っているので、やはりジブリ映画、とくに宮﨑駿作品の影響は受けています。実写では、マーベル作品が高校のころからずっと好きですね。

――宮﨑作品とマーベル作品で、好きなものをひとつずつあげるとしたら?

亀山  宮﨑作品では『天空の城ラピュタ』ですね。大人になってから見直すと、キャラクター設定の作り込みがしっかりしているから、細かいカットでの表情から「この人はいまこういう感情なんだ」と読み取れたり、より想像がふくらんで、本当におもしろい。もちろん、どの宮﨑作品もキャラクター描写がしっかりしているんですが、なかでもエンタメとしてのテンポのよさが際立っていて、完成されている。だからこそ普遍的な人気があるんだろうなと感じます。
 マーベル作品の個人的なベストは、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース、同一世界観で各作品のヒーローを扱う作品群)シリーズの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』です。MCUは、単独作品で主人公だったヒーローが一堂に会して、それぞれのバックグラウンドがぶつかり合うところがすごく好きです。いい意味で収集がついていないごちゃごちゃ感が世界観に深みを与えていますし、キャラクター同士の漫才的な掛け合いもおもしろくて。各ヒーローの背負うもののぶつかり合いが、物語の本質として一番生きていたのが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』だと思います。キャプテン・アメリカの3部作ラストとしてもすごくいい。1作目の『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』は、わかりやすい勧善懲悪。2作目の『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』では、自分がいた組織が実は悪かったとわかって正義が揺らいで、3作目では彼の正義が違う正義とぶつかり合う構成になっている。……オタク的なトークに脱線してしまいました(笑)。

――制作面で、そういった作品の影響を受けていると感じる部分はありますか?

亀山  作中で見せる役割だけでとどめずに、各々の事情を深く作り込んでおくことと、キャラクター描写をするときに物語都合で動かさないことですね。まずはキャラクターのバックグラウンドや性格が土台にあって、そのうえで物語が展開していく。血の通った人間のドキュメンタリーを見ている感覚というか、それくらい説得力があるものこそおもしろいと思っていて。だからキャラクター描写をするときは、ちゃんと生きている存在の物語を見せる意識は持っています。それから、小ネタが好きだったり、ディティールを大事にするところもマーベル作品の影響がある気がします。

――海外でアニメーターの勉強をしようと留学され、3DCGへの転向にあたって帰国されたとうかがいました。留学経験が作品に生きている部分はありますか?

亀山  アニメーションを勉強したのは最後の1学期間だけで、その前までは一般教養の授業を受けていました。向こうの学校のシステムがそうだったんですね。でも一般教養で習った美術史の授業が、重要な知識だったと感じていて。それまで絵の技法の勉強はしても、絵が社会に与える影響については、いっさい学んだことがなかったんです。「どう描くか」じゃなく「なぜ描くか」という視点を手に入れたことで、社会とのつながりが一番大切だとわかって。その土台ができたおかげで、実際に制作するときに「エンタメ作品はどうあるべきか」、「どんなテーマを描くべきか」といった部分で、悩まずにすんだと感じています。
 もう1点あげると、留学したおかげで日本を一歩引いたところから見られるようになったのも大きいですね。それまでは日本のごちゃごちゃとした風景に魅力を感じたことがなかったんですが、アメリカの街並みを経験したことで「あの独特なごちゃごちゃ感こそ日本らしさで魅力なんだ」と感じて、むしろそれを押し出していこうと考えるようになりました。

――最後に、本シリーズと監督の今後の展望を教えてください。

亀山  おかげさまでいろんなかたに楽しんでもらえているので、需要があるかぎりミルキーシリーズは作れたらいいなと思います。個人的には、技術的な問題もあって、どうしても描写できるのが列車内や室内といった限られた空間になってしまっているので、今後は街中など人がたくさんいる空間も描いて、もっと広がりを見せていきたいと考えています。

亀山洋平

亀山 洋平(かめやま ようへい)

1996年8月16日生まれ。
幼いころから欧米スタイルの手描きアニメーションにあこがれがあり、海外でアニメーターになることを目ざしていた。
2016年夏からアメリカ合衆国カリフォルニア州に留学するが、欧米では手描きアニメーションが主流ではなくなっていること、そして3Dという媒体に興味を持ち始めたことから将来の方向性について考え直し、2019年に大学を自主退学し日本へ帰国。
2020年に都内の専門学校に入学。
2022年2月、個人製作兼卒業制作として作ったショートアニメーション『ミルキー☆ハイウェイ』を公開。
フリーランスとして活動をはじめて以降、MV制作や企業タイアップ企画などに参加。
2023年から新作『銀河特急 ミルキー ☆ サブウェイ』の制作を開始する。

 

公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@yoheikameyama576
公式X:https://x.com/maru_turu
公式Instagram:https://www.instagram.com/kameyamayohei
公式pixiv:https://www.pixiv.net/users/44788067

 

TEXT:中島文華

『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き』(2026)
2026年2月6日(金)公開

銀河特急 ミルキー☆サブウェイ 各駅停車劇場行き

映像系専門学校の学生だった亀山監督が、卒業制作としてYouTubeに公開した『ミルキー☆ハイウェイ』(2022)の続編であるアニメ『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』(2025)に新作パートを追加した上で再構成した劇場版。警察に逮捕されたチハルやマキナたちが、奉仕活動として課された惑星間走行列車の清掃中に大事件に巻き込まれてゆく。リョーコの同僚・アサミと上司・ハガが新たに加わる。キャラクターが一斉にしゃべり出してセリフが重なるシーンや、音楽と動きがシンクロする演出など、映画館ではぜひ“音”にも注目してほしい。

【スタッフ】
原作・監督・脚本・キャラクターデザイン・音響監督・制作:亀山陽平
企画制作:シンエイ動画
製作:タイタン工業
配給:バンダイナムコフィルムワークス

【キャスト】
チハル:寺澤百花
マキナ:永瀬アンナ
リョーコ:小松未可子
アカネ:金元寿子
カナタ:小市眞琴
カート:内山昂輝
マックス:山谷祥生
O.T.A.M.:藤原由林
アサミ:小野賢章
ハガ:ロバート・ウォーターマン

【音楽】
主題歌:キャンディーズ「銀河系まで飛んで行け!」
挿入歌:水無瀬ミナミ(CV.田村ゆかり)「ときめき★メテオストライク」
プロモーション楽曲:MindaRyn「Altair and Vega」

【SNS】
公式HP:https://milkygalacticuniverse.com/movie/
公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@milkygalacticuniverse
公式X:https://x.com/MGUJapan
公式Instagram:https://www.instagram.com/milkygalacticuniverse/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@milkygalacticuniverse

©亀山陽平/タイタン工業

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