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配信があろうが、シネコンがあろうが、 私たちには今こそ「名画座」が必要だ。

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名画座アンケートコロナ禍をへて、より心地よい映画空間へ

2年半前、全国の映画館の休業が続く日がくるとは、いったい誰が想像しただろうか?
Chapter2の新文芸坐へのインタビューでも語られたように、2020年春以降のコロナ・ウイルス感染防止対策下でのこの2年間は、全ての映画ファンにとって、当たり前のはずの日常が当たり前ではなくなった日々だった。映画館経営も(特に規模の小さいミニシアターや名画座ほど)苦境に立たされ、数々のエイドが立ち上げられたりもした。一方で、国の映画業界を支える助成システムが極めて脆弱であることも明らかになったといえるだろう。
さて、それから2年が経過し、今、全国の名画座も、コロナ前では考えられないほど慎重な感染防止策を継続しながら、次第に平常運転に近いかたちを取り戻しつつある。映画館でクラスターが起きたという報道は一例もない。だが、それより以前に心の「安心」が失われてはいけないことを、経営する側が何よりもわかっているからである。
また一見すると、以前の姿に戻っただけのように見えるかもしれないが、各劇場はこの2年間の教訓を経て、新たな予約システムや顧客サービス、収益性を高めるためのアイデア、プログラム編成への積極的なチャレンジなどなど、個々に様々な取り組みを始めていた。
全国の名画座(ミニシアター兼名画座も含む)はこの2年間をどのように過ごし、いま何を感じているのか?
本誌では以下のような設問でアンケートを実施した。

  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。

アンケートにお答えいただいた名画座は以下の通りである。なお各館ともに大変ユニークなホームページを展開しているので、劇場についての詳細、および最新情報はぜひとも以下に示した各館のサイトをご覧いただきたい。
(ご協力いただいた各館の関係者様に心より感謝を申し上げます)

高田世界館(新潟)

新潟県上越市本町6丁目4-21 (えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン 高田駅より徒歩10分)
ホームページ:http://takadasekaikan.com
  • 高田世界館 外観外観
  • 高田世界館 場内場内
1911年に開業した芝居小屋「高田座」は、1916年からは常設の映画館「世界館」(その後何度か改称)として営業が継続された。2009年、100年近い老朽化により廃業の危機に陥るも、市民の保護活動(建物は国の登録有形文化財に指定)によってNPO法人「街なか映画館再生委員会」の運営で見事に生まれ変わった。現在は1スクリーン体制で1日3~5作品を上映。建物の見学ツアーも実施している。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    配信が先行したり同時になったりすることはもはや仕方がないことだと思います。コロナ禍以前も以後も、映画館の立ち位置が不安定であることは変わりがないので、その価値の固有性を見つめつつ、映画館にできることをやっております。スクリーン体験もその一つですが、他にも地域において話題を作ること(そしてその中心に映画館があること)など、小さなサークルに自閉せずにいることが地方においては大事だと思っています。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    コロナ禍前は地域の行き来がしやすかったという前提があったため、県外からの誘客が見込めるようなエッジの効いた企画(応援上映などのイベント上映、オールナイト上映など)を組むなどしておりました。SNS上の反応も含め、それらは概ね好評でした。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    コロナ禍が始まった当初はプログラムの工夫などで動員数も落ちずに済んでいた時期もありましたが(その後も作品によってはコロナ禍に関わらず盛況なこともありました)、2年間を通じて見ると徐々に客層が削られていった印象です。常連さんも未だ戻ってきていないというのもありますし、加えて、単純に2年が経ってシニア層のお客様がお年を召されて来られなくなったということもございます。 そのあたり、今後若い方々をどう巻き込んでいくかが重要になってきていると感じています。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    コロナ禍の場面場面で状況が違うので何が正解だったか結局のところわからないのですが、下記のような工夫(一例)をしました。でも一貫性はないと思います。
    ・地域外からの来場が見込めないため、映画ファン向けのプログラムではなく、より一般に広まりやすいような作品を集めるように心がけた(例えば美術系のドキュメンタリーなど)。
    ・そもそも映画館に足を運ぶ層が減っているため、一般層に向けるのではなく、大入りはしなくても手堅く集客するために映画ファン向けのややコアな作品やターゲット層が明確なドキュメンタリー映画などを編成した。
    ・夜の来場者が減ったため、日中の上映に諸々の重心を移した。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    引き続き予断を許さない状況だと思います。少なくともまだ以前の状況には戻っていないですし、今後も戻らないかもしれないかもと思っています。これがデフォルトだと思って、新たな顧客の獲得など、目線を変えていくしかないのかなと。
    リモートが手軽になったので、地方にありながらトークイベントも組みやすくなったので、意識的に組むようにしています。通常の営業をしながらだとなかなか難しいのですが、映画館が言論を醸成していくプラットフォームになれればいいなと思っています。

深谷シネマ(埼玉)

埼玉県深谷市仲町9-12 旧中山道沿い七ッ梅酒造跡(JR深谷駅より徒歩10分)
ホームページ:http://fukayacinema.jp
  • 深谷シネマ 外観外観
  • 深谷シネマ 場内内観
1999年に深谷市民が「県北にミニシアターを!市民の会」の賛同署名を集め始め、深谷市TMO構想(市街地活性化構想)に認定されて2002年に誕生した。深谷市に映画文化を根付かせようと、深谷フィルムコミッションやふかや映画祭とも密接に連携。市民ボランティアなどと共に上映企画を立てている。基本は1本立てで、「名画座」というよりはミニシアター的プログラムだが、時折ゲストを招いて企画上映を実施している。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    当館は2002年7月27日に深谷TMO事業(まちづくり組織)の一環で旧さくら銀行を改装してオープン。金庫室を映写室にした街の映画館でした。しかし区画整理事業で移転となり、2010年に近くにあった旧七ツ梅酒造の酒蔵を改装してリニューアルオープンしました。運営は認定NPO法人で4人の有給スタッフと市民ボランティアで運営しています。
    ~当劇場は、ミニシアターと名画座を兼ね備えた「街の映画館」です。~
    ・来場者から「アンケート」をとり、多様な映画の作品選定に反映させている。
    ・NPO法人として行政や会議所や地元商店街や他団体との協働を大切にしている。
    ・市民のボランティア参加と寄附(賛助会員制度あり)による支援で助かっている。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    ・コロナ禍以前は、何とかスタッフ4人の人件費も払え、決算もギリギリの黒字でした。
    ・「アンケート」をいただき、皆さんが見たい映画を上映しています。
    ・気楽に来られる「街の映画館」として、大変喜ばれています。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    ・1年目は休館もあり大変でした。国の補助金も申請し、一番の助けとなったのは「ミニシアター・エイド基金」からの支援金でした。これで何とか事業継続をすることができました。
    ・2年度目は国からの大きな支援がない中で上映を続けてきました。認定NPO法人ということもあり、定期的な寄附が事業の下支えとなってくれています。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    顕在化した点は、コロナのような緊急事態の時の支援がないと、当NPO法人の経営状況ではギリギリの黒字ですので、即赤字となり人件費がショートしてしまいます。国のミニシアターへの支援の仕組みづくりと地元自治体での支援の仕組みづくりを求める取り組みが急務だと実感しています。
    (例:そのために自治体が独自に「街の映画館」を街と市民に必要な文化施設と認知して必要な支援の検討を求めるときだと思います。)
    ・工夫した点は、『上映作品』を増やし新たなお客様層を開拓するようにつとめました。
    ・オリジナルグッズ(トートバック)を制作・販売し、新たな応援ツールにさせていただいています。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    ・以前と比べると(『上映作品』にもよりますが)おおよそ3割ほどの収入減となっています。
    ・高齢者のお客様がまだ戻ってきていません。経営的には厳しい状況です。
    ・お客様にはオリジナル「トートバック」の紹介を行うなどして、映画館維持への応援をお願いしております。

目黒シネマ(東京)

東京都品川区上大崎2-24-15目黒西口ビルB1(JR山手線、東京メトロ目黒駅より徒歩3分)
ホームページ:http://www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/now_showing.html
  • 目黒シネマ 外観外観
  • 目黒シネマ 場内場内
大蔵映画が1955年に同地に開業した「目黒ライオン座」(洋画館)、「目黒金龍座」(邦画館)が前身。その後、現在のビルに改装し、「目黒オークラ」をへて1982年から「目黒シネマ」に。基本の2本立て、ロビーでの映画関連書籍の陳列・貸出、多数のパンフレット類の販売など、旧来型の懐かしい映画館体験の維持・提供に努めつつ、コロナ禍をへてイベント上映、1本立てなど、積極的に番組の多角化を図っている。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    コロナ禍以前と変わりなく、街の小さな映画館として親しみやすい場所であり続けることを大切にしております。当館のスタッフが描いたイラスト入りの番組表や5ポイント貯まると次回無料になるポイントカードは、また来ていただきたいという願いを込めてお配りしております。配信がこれほどの力を持つ中、それでも映画館に足を運んでくださるお客様は、私たちにとってかけがえのない宝です。ご来館されたお客様が映画館という場所で過ごす時間を心地よいと感じてくださったなら、これに勝る喜びはありません。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    劇場ロビーを使用しての展示には特に力を入れていました。予算上の都合もありますがなるべくスタッフの手づくりで、劇中に出てくるモチーフやキャラクターなどの造形物や、記念に押していただける消しゴムはんこなどを作成し、お客様により深く作品の世界に浸っていただけるように工夫をしておりました。ご来場いただいたお客様にはもちろん、SNS上では遠方でご来場が難しいお客様からも多くの反響をいただき、当館の情報を拡散していただくきっかけにもなっていたと思います。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    ・2020年の2月頃から顕著にお客様が減り始め、そんな中でも通常営業をしておりましたが、緊急事態宣言に伴い休業、6月の営業再開後の1カ月は場内の人の滞留を避けるため従来の2本立てを取りやめ1本立てで営業をしておりました。その後、2本上映ごとの完全入替制での上映に切り替え、現在ではコロナ禍前とほぼ同様の2本立て営業に戻しております。休憩時の一時外出を可能にする、場内でのお食事禁止、入替ごとのアルコール消毒など、いまだに試行錯誤と対策をしながら営業を続けております。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    大きな変更点は、オリジナルグッズの通販を開始したことと、イベント上映などのインターネット予約システムを導入したことの2点です。
    2019年からTシャツなどのオリジナルグッズを発売し、劇場のみで販売をしていたのですが、休業中の時間を利用してインターネットのサイトからも購入ができるように環境を整えました。
    コロナ禍以前はトークイベント付きなどの特別上映のチケットも劇場窓口のみでの販売でしたが、お座席確保の上安心してご来場いただけるようインターネット予約システムを導入し、イベント付きなどの特別上映はオンラインでのご予約が可能になりました。(通常の2本立て上映はインターネット予約非対応です。)
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    一番落ち込んだ時期と比べますとお客様の数も収益も緩やかに増加傾向にありますが、コロナ禍以前と比べますとかなり厳しいと言わざるを得ない状況です。まだまだ試行錯誤の段階ですが、通常の2本立て上映に加えてレイトショーやモーニングショーで1本立ての上映をしたり、今までは1週間ごとに上映作品を区切っておりましたが、今後は1週間の枠にとらわれずにどんどん上映作品の数とバリエーションを増やしていけたらと考えております。日程などは以前より複雑になるかもしれませんが、可能な限り早めに上映日程を決めまして劇場のSNSやHPでお知らせしていきますので、チェックしてご来場いただけますと幸甚でございます。

早稲田松竹(東京)

東京都新宿区高田馬場1-5-16(JR山手線・西武新宿線 高田馬場駅早稲田口から徒歩7分、東西線高田馬場駅7番出口から徒歩2分、副都心線西早稲田駅1番または2番出口から徒歩7分)
ホームページ:http://wasedashochiku.co.jp
  • 早稲田松竹 外観外観
  • 早稲田松竹 場内場内
2021年に開館70周年を迎えた「早稲田松竹」。松竹の封切館だったが、1975年より名画座となり、近隣の大学の学生なども多く訪れるようになった。何より東京ではもはや珍しくなった一戸建ての映画館としての風情が心地良い。名画・監督特集・旧作・準新作・邦洋と幅広く目配せしつつ、センスを感じさせる2本立ての組み合わせには定評がある。また早稲田大学との共催による学生映画などの特集上映も。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    思い、という点では以前と変わった点はございません。素晴らしい映画をお客様にお届けしたい、という思いです。可能な限り良い環境で、リーズナブルに映画をご鑑賞いただきたいと常に考えております。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    2本立てですので、ご入場いただきました当日内でしたら入退場可能というシステムがございました。 例えば、初回をご鑑賞いただきました後、最終回に劇場へ戻り鑑賞できるといったものです。その間に、授業に出席したり、用事を済ませていただける、というシステムでした。時間を有効に使えると、ご好評をいただいておりました。現在は、感染症対策もあり、各回指定席としておりますため、行っておりません。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    2020年2月28日より、5月31日まで休館いたしました。休館明けは全席数の約30%、55席に減らし、営業いたしました。その後席数を増やし、現在では約70%の110席にて営業中です。感染症対策に関しましては、営業再開時と同様の対策を継続しております。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    直接的に収益につながるグッズの販売、貸館等は行っておりません。 お客様に安心して映画を鑑賞できると感じていただき、劇場へ足を運んでいただくために、感染症対策をしっかり行い、座席数を減らして営業を行っていることが、努力といえるかもしれません。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    ゴールデンウィークには、年齢を問わず多くのお客様にご来場いただきました。ですが以前と同じ、というところにはまだ戻っていません。 これからも安全に映画をお楽しみいただけるよう、感染症対策を継続してまいります。 お客様にはご不便をお掛け致しますが、何卒宜しくお願いいたします。

キネカ大森(東京)

東京都品川区南大井 6-27-25 西友大森店 5F(JR京浜東北線大森駅東口より徒歩3分)
ホームページ:https://ttcg.jp/cineka_omori/
  • キネカ大森 外観外観
  • キネカ大森 場内場内
テアトルシネマグループのキネカ大森の3スクリーンのうちの1スクリーンで名画座としての2本立て興行を行っている。地域の特性に合わせ、一般ファミリー層などを対象にした2本立ても多いが、インド映画やアクションものなど、かなりコアな層を狙った意外性のある作品編成でも知られている。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    ファミリー映画のロードショー、名画座、人気作品の順次公開の3本柱で作品を用意しております。
    近隣にお住いの方が多く利用されており、ご来場頻度も高いのでいつ来ても名画に出会える豊富な作品展開を心掛けております。また、特集上映企画を恒例行事としており、コアなお客様にも多くご利用いただいております。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    2018年7月にロビーの改装工事を行い、待合スペースを設けました。上映前に劇場でお過ごしになる方が多く、“映画ファンの憩いの場”としてアットホームな空間をコロナ以降も大切にしております。
    改装に合わせてそれまでになかった飲食売店を新設し、その場で購入できる利便性が高まったことで、多くのお客様にご利用いただいております。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    コロナ以前の賑わいは戻っておらず、厳しい状況が続いております。配信サービスの手軽さが顕著になった今、映画館で映画を観るということの体験価値の提供が必要だと再認識しております。多様な上映作品と快適な鑑賞環境を第一に努めておりますので皆様のご来場をスタッフ一同お待ちしております。

下高井戸シネマ(東京)

東京都世田谷区松原3-27-26(京王線・世田谷線下高井戸駅より徒歩2分)
ホームページ:http://www.shimotakaidocinema.com
  • 下高井戸シネマ 外観外観
  • 下高井戸シネマ 場内場内
二番館的な立ち位置で、シネコン、ミニシアターで上映が終わった旬の作品を週替わりで1日1回ずつ5〜6作品程度を入れ替え制で上映しているが、意欲的な監督特集などシネフィル好みの番組も組まれ、映画マニアの若者を中心に人気を博している。完全入れ替え制だが、あえて前売り制、ネット予約制といった昨今の流れに迎合せず、気軽にふらりと観に行ける映画館、出会い頭の映画ファン同士の交流といった雰囲気を大切にしている。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    地元の方が気軽にお越しいただける地域の映画館でありたいと思っていますが、地元の方以外にもいらしていただきたいです。そして、シネコンとは異なった多種多様な作品との出会いの場としてあり続けたいです。
    昨今では配信で手軽に映画を観ることができますが、それは劇場体験とは全く別ものだと思っています(PCやTVとは違う大きなスクリーンと映画館ならではの音響。外界と完全にシャットダウンされ、映画に没入できる一方で、他の観客とはゆるく繋がる空間)。だからこそ、すでにDVDや配信で見られる作品であっても、劇場で観たいとたくさんのお客様にお越しいただけているのだと思います。
    お客様にとってよりよい映画体験を提供し、より居心地の良い映画館となるよう常に心がけています。具体的には、特別目新しいことではありませんが館内の掃除を徹底する、スタッフが生き生きと働いている映画館であるよう心がけています。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    2020年2月
      コロナの影響で目に見えてお客様が減少。危機感を持ち、独自でクラウドファンディングを立ち上げ、1000人以上の方から、580万円のご支援いただきました。

    2020年4月
    政府の緊急事態宣言を受け、約2ヶ月の休館。休館中の都からの補償は十分なものではありませんでしたが、独自のクラウドファンディングやミニシアターエイド基金、当館でドキュメンタリー映画を上映されている配給の飯田光代さんによる支援など方々からご支援いただき、乗り越えることができました。しかし、6月の営業再開後も客足はそう簡単には戻らず、また客席を半分にしての営業であったため苦しい状況でした。2020年,21年は、感染者数に反比例して動員が落ち、経営が安定しませんでした。

    2021年7月
    当館のスタッフに感染者がでたため、約2週間休館。この休業には、当然国や都からの支援はありませんでしたので、厳しい状況でした。
    2年間のコロナでは、経営状況も厳しかったですが、それ以上に、精神的に疲弊しました。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    問題ではないですが、配信が増えても、外出が制限されても、映画館で映画を観たいと思っておられる方がたくさんいらっしゃるということを実感した数年でした。収益上の努力としては、店頭とオンラインでグッズの販売を始めたりしました。この数年で配信やオンラインコンテンツが爆発的に増えましたが、当館はあくまでもリアルな体験の場としての価値を提供し続けたいと考えています。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    2022年5月は、コロナ以前の収益には満たなかったですが、作品によっても動員は変わってくるので、それが全てコロナが原因だとは言い切れません。 公開から少し経った映画から、100年前の映画まで、時代・ジャンル・国を問わず幅広く良作を上映していますので、色々な作品に出会うことができます。当館は予約制ではないので、気軽にお越しいただければと思います。当館が、素晴らしい映画と出会うきっかけとなれば幸いです。

シネマ ノヴェチェント(神奈川)

神奈川県横浜市西区中央2−1−8 岩崎ビル2F(京急戸部駅より徒歩10分、相模鉄道 西横浜駅より徒歩10分)
ホームページ:http://cinema1900.wix.com/home/
  • シネマ ノヴェチェント 外観外観
  • シネマ ノヴェチェント 場内場内
総席数28席。陽の当たらないカルト的な作品やインディペンデント映画の新作など、支配人がこだわりのプログラム編成で選んだ作品を上映するミニシアター兼名画座。支配人が個人で映写機を購入し、前進のシネマバーを発展させて開業しただけに、クセの強い作品選定でファンを引きつけている。トラットリアを併設しており、映画を観るだけの場ではなく映画ファンの交流の場にしたいと、トークショーの後には、ゲストを囲んでの懇親会もよく行われる。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    実も蓋もない回答で申し訳ありませんが、好きだからやっているだけで、誰かのため、あるいは文化活動のためなどの大義はありません。社会情勢や時代が変わってもそれは同じです。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    当館の顧客の多くはジャンル映画の特化したファンなので、そういう方々の琴線に触れるような上映作品、イベント開催を心掛けていました。なので、足を運ばれる方々にはおおむねご満足いただいているのではと勝手に思っています。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    はっきり言って給付金や助成金のおかげで乗り切ることが出来た2年間でした。経営的には定員数を絞ったり、イベントが思うように開催出来ず、収益減は今も尾を引きずっています。ただ、コロナ対策は出来る限りのことをしたつもりですし、その点はお客様からも評価されていると思います。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    コロナ対策を徹底するため、出入口のほとんどを常に開放状態、アクリル板の設置も固定化しているせいで、以前以上にお客様にとって敷居が高くなってしまったように思えます。とりあえず、コロナ禍前の通常営業に戻ることが目先の目標です。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    まだまだ攻めのプログラム編成に戻し切れていないと感じています。そのストレスを秋以降にぶつけていくつもりです。たぶん、当館独自の上映作品やイベントが目白押しになると思いますのでご期待下さい。

大須シネマ(愛知)

愛知県名古屋市中区大須3-27-12(名古屋市営地下鉄 鶴舞線・名城線 上前津駅より徒歩6分、 鶴舞線 大須観音駅より徒歩5分 )
ホームページ:http://www.osucinema.com/index.html
  • 大須シネマ 外観外観
  • 大須シネマ 場内場内
2019年に開館したばかりの座席数42の小じんまりとした映画館だが、邦洋問わずエッジの効いたプログラム編成(1本立て)や、アニメを声優の生アフレコで上映するアニレコライブ(貸館企画)など積極的にイベントも実施して若い映画ファン層を開拓。運営母体は地元のデザイン会社で、自主制作映画の募集や映画以外のワークショップも行うなど、新しい映画館像を目指している。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    新作上映館さんとはプログラムが違いますが、上映テーマを独自に考え、他では見られない組み合わせで知らなかった映画も知って・観て貰えるよう編成を考えています。 「古い映画ばかり」「配信で観られるから必要ない」という声も耳にしますが、観たことが無い映画は必ずあると思います。もう一度スクリーンで観て欲しい映画があります。 そして、作品をベストな状況で観るには、映画館のスクリーンと音響、映画にだけ集中する空間が必要だと感じます。映画を映画館から届けたいと思っています。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    2019 年3月末に開館し、2020年2月頃閉館。2020年7月に現在の運営会社に変わり翌月から再スタートしました。最初の運営団体時も現スタッフは開館準備から関わっておりましたが、新設館で何もかもが手探り。工夫をしたり反響への対応ができる状況ではありませんでした。ただ、失敗があってもお客様からは励ましの声をいただき、映画ファンの皆様の温かさに気持ちが救われたことが忘れられません。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    ・コロナ禍で再オープンでしたので、初っ端から集客に苦しみましたし、今も継続して厳しい状況です。 コロナ禍前より貸館も行っていますが、「まん延防止」などが発令されるとキャンセルが続きました。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    上映と上映の間に座席消毒する時間を設けるため、映画の本数・上映時間(尺)を考慮し編成しています。またロビーに物販コーナーを作り、中古パンフレット販売なども開始しています。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    上述の通り、2019 年3 月末開館なのでコロナ以前との比較は難しいです。 近隣ですら存在が知られていない、知名度の無い映画館ですが、二番館ならではの懐かしい映画、名古屋の中でもサブカル色の強い商店街にある映画館ですのでアニメーション映画やカルト映画も定期的に上映しています。興味のある方も、未体験の方にもお越しいただきたいです。

パルシネマしんこうえん(兵庫)

兵庫県神戸市兵庫区新開地1-4-3(地下鉄 湊川公園駅より徒歩3分、神戸電鉄 湊川駅より徒歩5分、阪急・阪神・山陽 新開地駅より徒歩10分)
ホームページ:http://palcinema.net
  • パルシネマしんこうえん 外観外観
  • パルシネマしんこうえん ロビーロビー
1971年から続く名画座。ロードショーが終了した秀作の中から厳選した2本立て上映を基本としているが、朝パル、夜パルといった1本立て作品の選定や、「映画チア部」などの関西学生団体と組んだオールナイトイベントなどにも、スタッフの目の確かさ、遊び心が感じられる。希望者には映写室の案内をしたり、ホームページのかわら版など観客との交流も積極的。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    現在、様々な方法で映画を観ることができます。最も集中して映画を受け止め、感じることができる場所、それが映画館だと思います。殆どの映画製作者はお客様にスクリーンで観てもらう前提で作っているはずですので、作品に対するメッセージのより多くを受け止めやすい場所かと思います。音楽ライブや演劇を現地に行くかTVで観るかというのに似ているかもしれません。どれが正解不正解などはないと思いますが、最も映画を楽しめる場所という認識で毎日お客さまをお迎えしています。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    当館では通常となる2本立て上映も、2作品の組み合わせにこだわりをもってラインナップしておりました。「目当てにしていた作品じゃない方も予想外に面白く新たな映画の発見になる」という2本立てならではの楽しみ方は好評頂いておりました。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    他劇場さんと同じでお客様が激減し、今も例年の60%ほどに留まっています。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    通常の2本立て上映とは別に、朝イチのモーニングショーをはじめて、上映作品の数を増やしました。お客様にも好評で継続していく予定です。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    このGWは2021年と比べると動員はそれなりではあリましたが、コロナ以前のGWとは、まだ比べるまでもない結果です。2本立てやモーニングショーをはじめ、オールナイト上映やピアノ伴奏上映、映画お茶会など、様々な映画館での映画の楽しみ方を今後も打ち出していきますのでぜひ遊びにいらして下さい。

福井メトロ劇場(福井)

福井県福井市順化1-2-14 メトロ会館4F(福井鉄道 市役所前駅より徒歩2分、JR・えちぜん鉄道 福井駅より徒歩7分)
ホームページ:https://fukuimetro.jp
  • 福井メトロ劇場 外観外観
  • 福井メトロ劇場 場内場内
市民参加型の劇場を目指し、ファンの多い名画座。福井市初公開となるミニシアター系作品を二番館的に上映するほか、劇場設置の”あなたが選ぶ上映映画”アンケートでリクエストの多かった作品の上映や、「メトロ名作上映会」と銘打った有志スタッフを募っての上映会開催も17年の歴史を誇っており、特集上映も多い。舞台挨拶やトークイベントも積極的に行っている。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    映画は観客が鑑賞してなりたつ芸術作品。そして家庭では味わえない映画館で鑑賞する醍醐味があります。古今東西の多様な作品をより多くの人の目に触れる、観てもらえる機会を提供していきたいと思っています。そして、スクリーンで映画を観ることの素晴らしさを感じていただこうと、作品の理解を深めてもらえるような舞台挨拶や講演会などのイベント、特集上映を企画しながら経営しています。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    市民参加型の劇場、地元に根差し地域活性化の一つの核となるような劇場を目指し様々な取り組みを行っています。最も古い取り組みが上映作品のアンケートとメトロシネマノートです。アンケートは、劇場ロビーに現在上映可能な作品(上映候補作)のチラシを掲出し、劇場を訪れたお客様に観たい作品を投票してもらいます。来場されたお客さまが自由に感想等を記入できるメトロシネマノートをロビーに置き、自由な意見交換の場の役割を担ってもらっています。この取り組みは40年近く20冊を超える冊数になります、SNSの活用が活発な今でも、来場者の交流の場として親しまれています。
    近年は、映画製作者、出演者、有識者の舞台挨拶や講演会、トークショーを積極的に月1回程度のペースで行っています。作品の理解を深めてもらうだけでなく、登壇者と来場者、来場者同士の交流の場を意識し、なかなか福井では体験できない機会をお客様に提供しようとしています。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    緊急事態の発出や県の休業要請もあり、高齢者を中心とする映画ファンが映画館に足を運ぶ気運自体がなくなってしまったという印象だった2020年。21年は映画館に人が戻り始めたという報道もありましたが、ミニシアターのメイン層だった団塊の世代はまだ戻り切っていません。特に、ハードユーザー層の周辺の映画ファン、知識層の戻りが鈍いのが気になっております。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    一番懸念していたのはコロナ禍で自宅にいることで自宅で映画を鑑賞することに慣れたお客様が戻ってくるか、という点でした。あらためて映画館の存在意義を考えたときに、私たちが出した答えは、映画は映画館で観ることを前提に作られており、そして、その魅力を余すところなく届けたい、という点でした。そこで、コロナ禍のなか、敢えて音響設備を刷新するという試みを行いました。
    クラウドファンディングで募り、お客様に意義を問い、400名以上、400万円近い賛同を得ることができました。
    力を入れていた舞台挨拶等のイベントも本格的に実施することが困難な場合が多かったため、リモートでの舞台挨拶も行えるようにしました。しかし、交流の場としては本質的な魅力が劣るため十分な成果はあげられていないと感じています。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    客足は戻りつつありますが、まだまだコロナ以前には及ばない感触です。特に、メイン客層のシニア層は足が遠のいており、苦しい状況は続いています。
    しかし、徐々にイベントも再稼働し、以前の活気ある劇場を取り戻したいと思いますので、どうぞ劇場で、スクリーンで作品を観てください。ご来場お待ちしております。

小倉昭和館(福岡)

福岡県北九州市小倉北区魚町4-2-9(JR小倉駅より徒歩8分、モノレール 旦過駅より徒歩1分)
ホームページ:http://kokura-showakan.com
  • 福井メトロ劇場 外観外観
  • 福井メトロ劇場 場内場内
レトロな景観が郷愁をそそる2スクリーンを備えた創業83年の名物映画館(最初は映画館兼芝居小屋)。洋画・邦画を問わず、基本的には2本立ての2番組を並行して隔週代わりで上映し、地元の映画ファンに高い支持を得ている。また東アジア文化都市北九州2020▶21パートナーシップ事業にも参画し、映画スタッフ、キャスト、映画研究者のトークショウや活弁イベントも積極的に実施。
  • 1. 配信なども増えている現在の状況下で、どのような思いで名画座(ミニシアター兼名画座)を経営されておられますか?
    創業83年、地元の皆さまに愛され育てて頂いている映画館として、映画を観る場所としての存在だけでなく、居心地の良い身近な場所として、あり続けたいと思っております。当館ならではの上映ラインナップを待って下さるお客様の笑顔を励みに、「映画の街・北九州」にある福岡県内に現存する最古の映画館として、古き良きものを守りながらも、常に新しいことに挑んでいます。
  • 2. コロナ禍以前(2019年ごろ)運営上工夫されていた点や、お客様からの反響はいかがでしたか?
    出演俳優、同一監督作品、テーマ性など、繋がりのある2本立て上映を行っております。お客様からは「2本観ることで、より理解が深まった」「昭和館らしい組み合わせ」などのお声を頂いており、また「自分ならこの組み合わせにする」など、お客様からご提案頂くこともしばしばあり、それを採用させて頂くこともあります。
    その他には映画+αのお楽しみを念頭に営業を行っております。元芝居小屋の名残であるスクリーン前の舞台を利用し、監督や原作者、俳優や文化人をお招きしてのトークショウやダンスイベント、演奏会といった催しなどの定期的なイベントを開催する他、商品の限定販売や、近隣の美術館・文学館などの各施設が開催するイベントに沿った映画上映も行っております。
  • 3. コロナ禍のこの2年間の経緯はどうだったでしょうか。
    初めて緊急事態宣言が発令された際には、1カ月程度の休館期間を設けさせて頂きました。その後も数度の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されましたが、客席数の制限を行い、可能な限り終了が20時以降にならぬように留意し、営業を続け、現在もその対策は行っております。宣言・措置発令の際には、来場者数の著しい落ち込みやイベント開催の自粛により、厳しい状況でありましたが、再開時から販売開始致しました半年間観放題のシネマパスポートや、新たに設置したテーブル付きソファのペアシート、そしてお客様や関係者様からのあたたかいご支援や応援を頂戴致しまして、コロナ禍の中でも何とか営業を続けております。
  • 4. コロナ禍で顕在化した問題、さらにコロナ禍をへて、運営上、変えられた点や新たに収益上努力された点はありますか?
    基本はフラット料金での契約の為、来場者数が極端に少ない場合、【映画料>興行収入】に陥ってしまう可能性が現実味を帯びました。その為、前記致しましたシネマパスポートの販売を連続的に行い、作品や時期に左右されない収入の確保を図りました。
    また売店商品に関しましては、再開後から新たにお土産用に販売していたコーヒー豆を使用し、以前より要望を頂いておりました【淹れたてコーヒーの販売】を開始致しました。
    その他、当館開催のイベントだけでなく、貸館として使用して頂けるように広報も以前に比べ積極的に行うように致しました。
  • 5. 2022年5月の状況はコロナ以前と比べて、いかがでしょうか? また今後に向けて、映画ファンにひとことお願いします。
    来場者数がコロナ以前に比べ完全に回復したとは言えないものの、ある一定までは回復してきた印象です。しかしながら市外や遠方からのお客様は依然として少ない状況は続いております。
    今後は35mm映写機での上映など、ある種の新鮮さ、ある種の懐かしさを感じて頂きつつ、”小倉昭和館”らしい上映を行って参ります。
    またイベントの頻度を以前と同程度に戻しつつ、北九州市内唯一の単館系既存映画館として同市のフィルムコミッションと連携を取り合い、より身近でよりお楽しみ頂けるイベントや取り組みを行っていこうと思っております。
今回、2020年以降のコロナ禍という状況も鑑みて、あえて一律の設問を投げかけてみたのだが、そもそも東京・大阪のような大都市部と映画館数それ自体が圧倒的に少ない地方とでは、その地域への作品供給状況や鑑賞者側の交通アクセスなどを含め、映画館を取り巻く環境がまったく違うことから、これで何か「名画座の現状」が炙り出せたのかどうか?と問われれば、そうではなかったかもしれない。それでも都市・地方にかかわらず、各館がより安心して映画を鑑賞してもらえる環境づくりへ努力を重ねている姿が伝わったのではないだろうか。

また、動員数が改善しつつあるこの機にさらに幅広い客層にアピールするために、モーニングショーやレイトショーなどの枠を増やして上映作品を増やしたり、リモートの活用で、地方館においても積極的に舞台挨拶などを実施し、ひいてはコロナが落ち着きつつある現状では、コロナ以前にもまして幅広いイベント上映の可能性を模索している状況など、各劇場の積極的な取り組みが目立つ。
そしてその気持ちを支えているのが、ほかならぬ各名画座スタッフの「映画の作り手と映画の受け手を自分たちが繋いでいるという熱い想い」にあることは、これらアンケートの文面からひしひしと感じていただけたであろう。

名画座には、その劇場、その劇場の独特な空気がある。これを機に、これまでは縁のなかった地方の名画座に足を向けて、その劇場の空気を味わってみるのもいいかもしれない。
各名画座が個性的な創意にあふれた映画鑑賞空間として、今一度見直され、再び活気を呈すのは、もうすぐそこまできているような気がする。
今こそ、全国の名画座に行こう!

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